I can't let you go.【Jeonghan】

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「Aちゃん、好きな人いるの？」

ある日のお昼休憩で
ジョンハンさんは突然そう言った。


「えっと…いません」

「そうなんだ」

「なんでですか？」




今日はいつもみたいにみんなでお昼ご飯を食べていない。
ジョンハンさんが二人で食べたいと言ったので
サラにお願いして二人で食べることになった。


サラはジスさんを探したけど教室にも中庭にもいなかったらしく
一人で食べるらしい。

ごめんねサラ。


「ただ気になったんだ」

ジョンハンさんは下を向いてはにかむ



「私、今まで人を好きになったことがなくて、あんまりわからないんです。そう言う気持ちが」



「うーん、大切って思う人、かな」

「大切？」





「大切で、心配で、一緒にいると心地よくて、


見てるだけで幸せになれる。そんな人が好きな人かな」


そう言われてすぐに思いついたのは

「じゃあ、サラとジョンハンさんとジスさんです」


「ふふ、3人も？」



ジョンハンさんはそう言って笑うけど
私は本気


「まぁ、今はそれでいいと思う


好きな人ができたらわかるよ。」


「そうなんですか？」



「そう、他の人とは明らかに違う特別感。


僕も初めて好きになって、その気持ちが分かって




恋ってこういうものなんだって知ったから」



そうだ、ジョンハンさんは好きな人がいるんだっけ？
この前喧嘩してガラスで怪我した話を聞いた気がする。

その時本当に大切そうに話していたのを覚えてる。


「ジョンハンさんが羨ましいです。私も好きな人できたら言いますね！」


「え？」

ジョンハンさんはハテナを浮かべた顔で私を見る



「どうかしましたか？」


「あ、ううん。なんで僕が羨ましいのかなと思って」




「ジョンハンさんは好きな人いるじゃないですか」


「ああ、そう言うことか」

「はい」

あははと笑ってジョンハンさんは長い瞬きをした。





「でもね、僕は好きな人は誰にも見せたくないくらい大切だから、羨ましくなんてないんだよ。むしろ僕は今


すごく苦しい。」



「見せたくない？」



「うん、見せたくない。でも片思いだから。僕はただ見てるだけ」




「え…てっきり両思いなのかと思ってました。」


「その子は僕が好きってことにも気づいてないくらい

純粋で、可愛くて綺麗な子なんだ」





ジョンハンさんは私を見つめて離さない。
こんなにかっこよくて綺麗な人に愛されるなら


「…私も、恋がしてみたいです」




誰にも見せたくない。なんて言われてもいいかも、なんて
他人事な私はそう思った。

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