キャットフード【SVT ALL】

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「どうして…泣いているの」



彼女は不思議そうに僕を見つめる。

だけど僕にとっては君の方がおかしい。



「どうして…泣かないの」





僕はただ、まばたきもせずに
彼女を見つめてそう言った。

ポロポロと流れる涙に、恥なんて感じなくて
ただ、僕たちは目を合わせた。


震えないその目で動揺して震える僕の目を捉えて離さない






「…」

それでも不思議そうにしている彼女はじっとして動かなくて




「脚…痛いくせになんで痛いって言わないの」





それを言い終えると、僕は視線を彼女の足首に向けた。

同時に足首を見た彼女は冷たい目でそれを見る。



それは、濃く赤い。深い切り傷
足首に、アキレス腱を切るように、切りつけられていた。

「私が、悪い子だから歩けなくしたって。パパ達が言ってたから」






だから？


だからなんだって？



「…へ？」


僕はイライラを通り越してしまって
間抜けな声を出した。



パパたちってなんだ。
家族だろ？なんでこんなことを？

こんなの虐待だけでは済まないじゃないか
命だけはあっても、こんなの



「こんなのあんまりだ」





「これは、仕方ないよ。私、悪い子だからパパ達を怒らせてしまったの」


そんな風に話す彼女に腹が立った。

こんなの間違ってる。


君が、そんな風に言う必要は何もないのに

痛くてたまらないはずなのに。



そう言おうとして、僕が口を開けるけど
先に口を開いていたのは彼女だった。


「涙、拭いて。」




どうしてなのか
君は悲しくないの？苦しくないの？悔しくないの？


…怖く、ないの？




「ごめん
ありがとう」



僕はそう言って腕で涙を拭いた

『悪い子 反省中』

きっとこの子にとって
すごく重たい言葉なんだ。

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