112. 慣れっこ [Side You] ページ12
「翔くん、ショック受けてたね。」
ミカエルにそう言うと、
「久々に天使見たら、誰でも驚くよ。子供の頃は、みんな普通に見てたのにね。」
と、微笑んだ。
そういう私も、今のお仕事を始める前は、
いわゆる「見える人」ではなかったから、翔くんの気持ちも分かる。
天使の存在を感じたくてやってくるクライアントさんの場合、
天使を見たり感じたりすると、喜ぶ人がほとんどなんだけど、
そういう意図がない人の場合、距離をおかれてしまうことも、少なくない。
そういう意図がない人っていうのは、つまり、友達や恋人、同僚なんかのことなんだけど、
「あやしい」と言われて離れていった人も、いるわけで…。
そんなだから、もう、「あやしい」と思われることには、慣れているし、
離れていかれて傷付くこともない。
いい意味でも、悪い意味でも、免疫ができているから。
もちろん、私の元を去って行く人ばかりではなく、
それをきっかけに、天使に興味を持ってくれる人もたくさんいるし、
何よりも、サキさんのように、天使と仲良しの同僚も、たくさんいる。
翔くんの場合、私には見えないものが見える、ということは理解してくれていたし、
それをどうこう判断することもなかったけれど、
自分が実際に見てしまうと、やっぱりびっくりするよね。
だから、少し、落ち着くまでは、そっとしておこうと思った。
次の日、大野さんから、「迷惑かけて、ごめんね」というメールが来たけれど、
それまで頻繁に来ていた翔くんからのメールは、
その日を境に、こなくなった。
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作者名：ゆん*
| 作成日時：2013年11月10日 19時
