トリップしたからって美人補正がついてるとは限らない2 (ページ39)

今日:21 hit、昨日:2 hit、合計:40,786 hit

トリップ83日目ページ39

～Aside～

森「無理だな。何故ならば君は既に敗けている。見るといい」

指差す先には閉ざされた扉。然し、突然揺らめき始め、段々と敦君が扉に腕でしがみつき吸い込まれるのに耐えている姿が見えた

ルーシー「どうして＿＿ドアは確かに閉まったはずなのに！」

驚く私とモンゴメリ。敦君は苦しそうに顔を歪めながらも答えた

敦「この戦いは″最初から二対一″だ。ドアが開いた瞬間に、谷崎さんの『細雪』で扉の映像を偽装した」

目を凝らすと、ドアの奥で谷崎さんが細雪を使っていた

成程。閉じたように見せかけてたんだ…

ルーシー「そんな……そのうえに部屋へと吸い込む力に腕力だけで抵抗したの？」

出来るわけないと疑う彼女に、敦君は「君は勘違いをしている」と言った

敦君の過去、モンゴメリと同じ気持ちが判ること。本当はモンゴメリに居場所を失ってほしくないことを晒け出した

敦「でも僕は弱くて未熟だから他に方法が思い付かない！」

敦君が腕を引き寄せると、モンゴメリの体が前へと引き寄せられた

モンゴメリの腰には、敦君が手にしていたリボンが巻かれていた。敦君はリボンを引っ張り、モンゴメリを扉まで引き寄せた

そして片腕で羽交い締めにし、脅しをかけた

敦「異能を解除して皆を解放しろ。でないと君を奥の室(へや)に引きずり込む」

モンゴメリは動揺している。そうされたら困るのだろうか

敦「鍵がなければ扉は開かない。なら君が室(へや)に幽閉されれば扉を開けられる人間は誰もいなくなる。そうなってから異能を解除しても君は元の世界に戻れない。違うか？」

図星立ったのだろう。モンゴメリは目を逸らした。そんな彼女に、「異能は便利な支配道具じゃない」と云った。それは私も…特に敦君は善く判ってる

敦「自分の創った空間に死ぬまで＿＿否、死んだ後も囚われ続けたいか？」

モンゴメリは涙を浮かべながら首を横に振り、「でも…あたしは失敗するわけには」とか細く云った

敦君は慈悲などかけず、今から手を離すと云い、腕の力を緩めた

待って、と制止するモンゴメリの声に耳は傾けず、敦君は手を離した

一瞬、瞬きをした

そして目を開くと＿＿そこは元の交差点だった

敦君と谷崎さんの作戦は成功した

谷崎さんはナオミちゃんの元へ駆け寄り、賢治君は幽閉されていたであろうお婆さんに手を貸していた

敦君は、座り込むモンゴメリに声をかけるも、睨み付けられただけ、逃げられてしまった