トリップしたからって美人補正がついてるとは限らない2 (ページ37)

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トリップ81日目ページ37

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～Aside～

敦君は「僕は……」とか細く声を出すが、モンゴメリに遮られてしまう

ルーシー「あたしも異能を買われて組合に拾われたの。けど組合は失敗を許さないわ。今回の作戦をしくじったら、汚れた紙ナプキンみたいに捨てられる。

そしたらまた独りよ。そんなのって信じられる？」

スカートを力強く握りしめながら、震えた声でそう話す彼女が、どうしても悪い人には見えなくて、無性に放っておけなくて。何か声をかけたいが、私には何も言えることがない

ルーシー「ねえなぜ貴方なの？なぜあたしではないの？」

虚ろな目でそう問う彼女は、悲しみ…苦しみの声から怒りへと変わっていった

ルーシー「不公平よ。貴方もあたしの気持ちを思い知るべきだわ。この部屋の中で永遠にね」

右手を合図のように振り上げたと共に、アンが再び動き出す

敦君はアンを避け、鍵を鍵穴に差し込もうとした

敦「よし」

その時、隣で見ていた森鴎外が声をあげた

森「少年！危ない！」

「え？」と振り向いた敦君の首近くに、鋭い黄金の刃が近づいていた

彼はそれに気付き、首を横に反らせる。反射的に鍵を投げ捨て、鍵はモンゴメリへの足元へと滑っていった

ルーシー「あら、大事な鍵をこんな風に扱って。孤児院の先生に叱られるわ」

鍵は蔓のように伸びて鋭い刃と化している。やがて鍵は不気味な顔を作り出し、ケケケケと高笑いを始めた

鍵は、最早原型を留めず、黄金の化け物となった

A「ひぃ……何あれ」

敦「鍵でドアを置けたら勝ちじゃあないのか！」

叫ぶ敦君に、モンゴメリは「そうよ。開けられればね(・・・・・・・)」と冷たく微笑む

ルーシー「こんな鍵をどう使うのか、あたしも見当がつかないけど」

A「最初から扉を開かせる気はなかったってことなんだ」

ポツリと呟いた私の声はモンゴメリには届かず、彼女はアンを操り、敦君を追い詰める

ルーシー「貴方は鬼ごっこの天才みたいだけど、この状態で何分心が持つかしら？」

勝ち目のない鬼ごっこを続ける敦君がいたたまれなく、私は立ち上がり、敦君を助けようとしたのだが…敦君は私の横を素通りして、出口の扉へ走った

A「敦君！？」

ルーシー「お友達を捨てて逃げる気！？」

敦君がドアノブに手を伸ばした時＿＿森鴎外が装飾のリボンを敦君の首にかけて腕を引き、敦君をドアから引き離した