トリップしたからって美人補正がついてるとは限らない2 (ページ4)

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トリップ48日目ページ4

～Aside～

ラファエル「どこからって……君が生きてた時の世界からだよ」

ラファエルは″当たり前じゃないか″とでも云いたげな顔をしている

ラファエル「まぁいいや。話を続けるね。この文豪ストレイドッグス、通称文ストの世界は知っての通り、著名な小説家達が登場人物となっている。

そしてその登場人物達が著した本のタイトルや一文を【異能力】と扱っている」

ここまでは私がこの世界で過ごしていくにつれて学んでいった……というか気づいたこと

ラファエル「まぁ詳しい説明は面倒だから、とりあえず一巻を読んでみてよ。そしたら何となく理解出来るだろうからさ」

はい、と本を渡されて、私は頁を捲る

そして紙に描かれた絵、綴られた言葉、それらを目で追い、頭で理解した。他人事と思えば、没頭する作品だった

然し読んだ後の感想は、既視感しかなかった

漫画で起こった事柄全てに、私は参戦しているし、主人公である敦君が体験したことを、私も体験した

例えるなら、漫画のストーリーの中に、私という人間を無理やり埋め込んだようだったし、実際にそうだったのだろう。

私はラファエルに漫画を返した

A「うん。何となくは理解したよ」

ラファエルは安心しているようだ

ラファエル「君も気付いただろうけど、今まで物語に君という存在が埋め込まれた事で、原作がねじ曲げられたことはない。当たり前といえば当たり前なんだ。

君は死んで、本来なら同じ現世に転生して、前世の記憶を忘れて生きていく。ごく普通の事を繰り返す筈だった人間なんだ。人間一人放り込んだ所で、物語の軸が乱れる事はない」

私はここに来るときの事を思い出した

そう。私はただ単に【アタリ】の籤を引いただけ。宝くじに当選したようなもの。本人に大きな影響は与えても、周囲の人生を狂わせる何てことはないのだ

ラファエル「けど、一応君はトリップしたんだ。死ぬ前の記憶もあって、然も転生じゃない。異能力だって授かった。この先、君の存在が文ストの世界に影響を及ぼすかもしれない」

だからね、とラファエルは真剣な眼差しで此方を見つめてきた。その瞳から目が離せない

ラファエル「もしも、原作が狂うような事があったら………」

その先に出る言葉を想像できない。想像が出来ない、理解出来ない事ほど恐ろしいものはない。私は息を飲む

ラファエル「気にせず過ごしてほしい！」

先ほどまでの渇いた空気をぶち壊す勢いでラファエルは言った