トリップしたからって美人補正がついてるとは限らない2 (ページ11)

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トリップ55日目：うつくしき人は寂として石像の如くページ11

～Aside～

ゴッと、人を殴ったような鈍い音がした

A「な、何ぃ…」

出口を探すついでに、ちょっと様子を見に行こうと思い、音のする方へ足を進めた

「とて……ない。……に………ば、……る」

何やら話をしているようだ。声を聞くに、一人は男。喧嘩かな……こんな薄暗い不気味なところで喧嘩なんて……

さらに足を進めると、もう一人の声も聞こえてきた

「そ……い。偉………ねぇ」

もう一人も男。けど、何処かで聞き覚えがあるような声だ。よくよく聞けば、どちらの声も聞いたことがある気がする

探偵社の人かもしれない！私達がいなくなったのに気付いて、助けに来てくれたんだ！！

胸を弾ませ、歩くスピードを徐々にあげ、近づいていく

そして角を曲がり、二人の男のところへ辿り着いた……のだけど

「……には難儀したよ。呑み込みは悪いし独断専行ばかりするし」

A「え…」

目の前の人物に、驚きのあまり声をあげた

目の前にいたのは……

「おまけにあのぽんこつ(・・・・)な能力……((A「太宰さん！？」

そう。太宰さんだった。矢張驚きは隠せず、太宰さんの言葉に被せてしまった

太宰「おや、Aちゃん。結構早かったね。芥川君が去った後くらいに来ると思ってたのに」

太宰さんは、少し前の私と同じように、手首を鎖で繋がれた状況だったが、対して気にしていないらしく、″はァい！″とニコニコしている

とりあえず大丈夫そうな太宰さんを放っておき、太宰さんが言った人物、そして私が目にしたもう一人の男に目をやる

芥川「貴様……中田！」

そう。もう一人の男とは、先日私達を襲撃したポートマフィアの芥川龍之介だ

A「やぁ芥川。宣言通り私の名前調べたんだろうけど、生憎私は中田じゃないんだ。私の名前は田中A」

田中と中田、似てないようで似ているこの姓は、大変面倒である。在り来たりな姓というのもあまり気に食わない

芥川「貴様は首領の所へ行ったと聞いた。首領の部屋からどうやって出てきた」

うぅん、ここで正直に″気付いたら瞬間移動してた″と言ってもいいのだけど、芥川の事は余り好かない。格好付けたい

A「何故って、そんなの私の能力を使ったからに決まってるでしょ」

間違ってはいない。あれは恐らく私の能力。幾ら格好付けたくても嘘は吐きたくなかったからね

芥川「貴様の能力は無効化だけではなかったのか……」

さて、ここからどうするべきか…