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「うん。そうだよ」
「おれ、ひかる。けいの幼なじみ」
「、」
思わぬ相手に、どきん、と跳ねあがった心臓。
しかし、
「……もしかして俺は、ゆうりさんにも迷惑を かけちゃったのかな？」
ゆうりさんではなく、彼が来たということは
ゆうりさんすらも ここに来れなくなってしまった。ということで、
「けいのお父さんとお母さん、大ゲンカしちゃって。けいのお父さんは「あんなライオンに そそのかされやがって！」って怒りまくってるし、けいのお母さんは「りょうすけさんのことを しっかり見てから、物を言え！！」って、けいのお父さんに跳び蹴りかますし。こわくて、けいの巣に近よれねーの」
「はぁ……。俺、なんてこと しちゃったんだろう…」
自分のしたことに、いや、自分の存在が もたらした不幸に
俺の心臓は サァ、と 冷えきり、
俺は その場に うずくまった。
その時、
てけ、てけ、
遠くから聞こえる おぼつかない足音と
「んしょ…んしょ…」
幼くて かわいい声。
「、」
顔をあげると
けいちゃんよりも小さい、真っ白な うさぎが歩いていて、
もしかして。と思った時には
「けいと！なに ついて来てるんだよ！」
ひかる君が あわてて駆けよっていた。
「ばか！お父さんとお母さんにバレたら、どうすんだよ！」
「だって、けいと。おにいちゃんに たのまれたんだもん」
「なに言ってんだよ。おれが けいに頼まれたから来たんだぞ？」
「……」
少し高めで、舌っ足らずな けいと君の話し方は
けいちゃんに とてもよく似ていて、
「けいちゃん…」
ふらふら、と けいと君に近づく 俺。
けいと君は 俺に気づくと
「らいおんの おにいちゃんっ。これ、おにいちゃんが わたしてって！」
元気いっぱいの笑顔で そう告げ、
四葉のクローバーを差し出した。
「よつば…」
「はい、どうぞっ」
けいと君の小さな手から 四葉を受け取ったのと同時に
――よつば、食べちゃだめぇ！しあわせの おまもりぃ！
いつしかの けいちゃんの言葉が 頭の中で聞こえ、
「っ、けいちゃん…」
……ねぇ、けいちゃん。けいちゃんも、俺との思い出を 思い出してくれてるの？
ぎゅう、
俺は 思わず、けいと君を抱きしめた。
fin
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作者名：本田
| 作成日時：2019年10月13日 21時
