にんじん ページ3
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ym side
「はぁ…」
あの日から、何もする気が起きない。
シマウマを狩る気にもならないし(そもそも、腹がへらない)、
メスライオンと交 尾をする気にもならない。
俺の頭と胸の中は うさぎさんのことでいっぱいで、
「もう、逢えないのかな…」
うさぎさんと出逢った この場所に ずーっと座りこんでは、
あの あいらしい体型、
白くて美しい毛並み、
もふもふの耳、
くりくりの かわいい瞳を
何度も何度も 思い出している。
…あの ふわふわな身体を抱きしめて、すりすりしたい。
あの ちまっとした かわいらしい くちびるに口つけたい。
あの もふもふの耳を ぺろぺろ舐めて、「すきだよ」と ささやきたい。
それよりも、なによりも、うさぎさんと番になりたいっ！！！
「くそっ！！どうして俺は、ライオンなんだよぉ！！！」
抑えきれない恋心に 頭を抱え、うずくまっていると、
『よいしょ…よいしょ…』
遠くのほうから聞こえてくる かわいい声。
…この声は！！！
あわてて顔を上げると、
うさぎさんが 大きなニンジンを抱えながら、いっしょうけんめい歩いていた。
「―――っ！！！」
かわいすぎるぅぅぅぅぅ♡♡♡♡♡
転ばないように よたよたと歩く そのあいらしい姿は
まるで 生まれたての天使のようで、
…あぁっ！！手伝ってあげたいっ！！でも、あの あいらしい姿を いつまでも眺めていたいっ！！
というか、ニンジンになりたいっ！！！！！
俺は ガリガリと胸を掻きむしり(すごく痛い)ながら その場にゴロゴロ転がり、
ひたすら、うさぎさんのかわいさに のたうち回った。
しかし、
うさぎさんから目を離した その時、
『きゃあ！』
うさぎさんの悲鳴が聞こえ、
「いいもん持ってんじゃん。うさぎさん」
いつの間に現れたのか、
クソ小僧シマウマが、うさぎさんからニンジンを奪おうと ニンジンに かじりついていた。
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作者名：本田
| 作成日時：2019年10月13日 21時
