EPISODE 33 ページ37
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「あぁ…これ感動するわぁ…」
今日も彼らは来ないので本を読む。恋愛小説なのだが、やっと両思いになった2人を切り裂いてしまう出来事が起こってしまったのだ。あぁ、切ない。
物語は外の世界。きっと、この本を読んで早く外の世界に行きたいと希望を持つ子供も多い事だろう。
「…辛いなぁ…」
「何が辛いんだ?」
「!」
上から聞こえた声。ガバッと顔を上げると、扉を開けているレイが不思議そうにこちらを見ていた。こいつは、きっと恋する方じゃなくてされる方だろうな。
「…レイには分からないよ、恋する乙女の気持ちなんて」
「は?じゃあお前も男なんだから分からねぇだろ」
…確かに
だけど俺はちゃんときゅんきゅん(?)の恋をした事があるから、きっとレイよりは恋愛経験も豊富だろう。そう言ったら、ありえないという目で見られた。えっ
「お前、恋、した事あるのか…?」
彼が震えている。え、嘘。俺そんな非リアに見えてたの?いや、非リアだけどさぁ。
「まぁ、男、ですから?」
そう言うと、レイがあんぐり口を開けたまま固まった。ありえないと顔に書いてある。やめてよ、傷をえぐるんじゃねぇ。
「レイは恋、したことないの?」
「ないな。それどころじゃなかったし、周りのやつを信用できていなかったしな」
「……」
「だから、お前もそうかと思ってた」
「…そっか」
疑心暗鬼が当たり前な世界。そんな世界じゃ、恋もまともに出来ないだろう。しかも、恋をしたとしても、すぐに離れ離れになってしまう。鬼に食べられてしまい、一生会えない。うわ、泣きたくなってきた。
「きょうだい達はみんな大切な存在だけど、恋愛としては見たこと無かったな」
「ほぉ」
レイとこういう恋愛話をしたのは初めてで新鮮だった。まぁ、彼が恋をしている所なんて全然想像つかないけれど。
「それにしても…ちゃんと寝てるか?くま凄いぞ」
レイが俺の髪の毛をさらりとかきあげる。最近夢を見ているから、少し寝不足気味なのだ。絶対言わないけど。
「…寝てるよ、ぐっすりと」
にぱっと笑って見せれば、レイは眉をひそめて俺のほっぺをぐにぐにしてきた。痛い。
「なにひゅるの」
「無理するなよ、脱獄した後に倒れても看病しねぇんだからな」
「…へ?」
脱獄した後…?
驚いた。彼は俺を脱獄に連れていこうとしているらしい。阿呆だ。阿呆すぎる。
「…そうだな」
でも、ちょっと嬉しかったのは、ここだけの秘密。
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Rabbit book(プロフ) - 公務員さん» ありがとうございます!嬉しいです(*´-`*)更新頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いします!! (2019年8月10日 18時) (レス) id: 5389d4eda8 (このIDを非表示/違反報告)
公務員 - あ、、、、続きが気になって仕方がない、、、、、!更新楽しみにしてます!! (2019年8月8日 12時) (レス) id: 567cb90382 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbit book(プロフ) - 花風雪さん» ソフィは、、、、どうなってしまったのでしょうか……続きをお楽しみにしててください!笑 (2019年6月17日 16時) (レス) id: 5389d4eda8 (このIDを非表示/違反報告)
花風雪(プロフ) - (´・Д・)ぽかーん、ソフィィィィ! (2019年6月16日 19時) (レス) id: e781858e49 (このIDを非表示/違反報告)
Rabbit book(プロフ) - はるせさん» そうです、やばいんですよ!!(笑)更新頑張っていきますので応援よろしくお願いします! (2019年5月13日 19時) (レス) id: 5389d4eda8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ま る | 作成日時:2019年4月3日 14時