08 ─ 収拾 ページ39
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それからは色々と大変、というか面倒なことが重なった。
理子ちゃんは、予定の時間を過ぎても天元様が安定していたのと、本人が同化を拒んだので、特別に同化はしなくて良いことになった。これは五条が自身の権力を最大限に使った結果だ。
赫と茈、それに反転術式まで使うようになった五条を上層部が恐れた、というのも多少あるだろう。
伏黒甚爾を逃した件については不問となった。
私も夏油もそれなりに怪我を負っており、逃したのも仕方がない、むしろその状態でよく星漿体を守りきった、ということらしい。
「A、クズ2人との旅行はどうだった?」
「スリルにおいては満点かな」
今日は久しぶりに同期4人で集まって夏油の部屋で遊んでいた。
五条と夏油は2人でゲームをしていて、私と硝子は駄菓子を片手に喋っている。
こんな時間にお菓子を食べたら絶対太るだろうなと思いつつも、美味しいので つい袋に手が伸びてしまう。
「死ぬかと思ったけど、意外と楽しかったよ。学ぶことも多かったし」
「へぇ」
「でも、ちょっと夏油が心配」
「なに、浮気でもされた?」
「ちがう、ちがう。夏油とはそんなのじゃないって。……何というか、最近無理してるなって」
夏油が呪詛師になった原因の1つと思われる星漿体暗殺はなんとか阻止したけれど、未来で彼が呪詛師になったのはこれから1年くらいあとだ。それに暗殺を阻止したといっても、それまでにかなりの痛手を被ったわけで。
私はエスパーではないから夏油が考えていることまでは分からないから、彼が非術師のことを憎んでいる可能性も否めない。
「まぁ私の気にしすぎかもしれないから、」
「夏油ー!Aがアンタのこと心配してるよ〜」
本人には言わないでね、と言おうとしたのを硝子は遮って、夏油に大声で言う。
「ほんとかい、A」
「あ、いや」
「ほんとだって。夏油が男前じゃないって心配してたよ」
「ちょっ、硝子⁉︎ あ、夏油……これは嘘で、 」
「悟、硝子、悪いけど今日は帰ってもらっていいかな。Aと話したいことがあるんだ」
「はは、りょ〜かーい。Aがんばって」
「えーまだこのゲーム終わってなくねぇ?まぁいいけど」
夏油の言葉に、硝子は軽快に、五条は若干の不満を含んだ様子で頷いて、出ていってしまった。
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作者名:穂波 | 作成日時:2021年11月20日 22時