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運が良かったのか、私の技術が上がったのか一発で呪霊に当たった。
効いたのは呪霊の頭部だけで完全に封じ込められていない。でもさすがに伏黒も予想外のことのようで、動揺して一瞬 動きが止まる。夏油がその隙を突いて一気に畳みかける。
そのあとは私はただ逃げるだけだった。
呪霊の頭部が凍っていたため伏黒は呪具を使えず、呪霊の口から少し出ている呪具の持ち手をつかんで、呪霊ごと振り回していた。
けれど呪具がない状態では、呪力が無い伏黒は丸腰同然で。最終的に夏油が勝った。
しかし天与呪縛で身体能力が底上げされていたおかげで、伏黒は死んではいなかった。
夏油がとどめを刺そうとしたが、私が止めた。呪霊を封じたのは私だし、なんとなく殺人に加担したようで嫌だったから。
夏油は私の言葉に驚いた顔をしたが、「Aが言うなら」とやめてくれた。
「で、コイツをどうするつもりなんだ?規定どおり上層部に引き渡せば間違いなく死刑だよ」
「え、」
「Aが私を止めたのはコイツを殺したくないからだろう?」
「そだけど……。五条の力でどうにかならないかな」
「……悟はコイツが殺した、って……さっき」
顔を歪める夏油に私は、今の時点では五条が死んだことになっていることを思い出す。
これはやらかしたな。
「あーいや、なんか反転術式を使えるようになったらしいよ。だから大丈夫だと思う」
「……ふーん」
ちょっと間の空いた返事に不安を感じたけど追及してこないから、納得したものと受けとめた。
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作者名:穂波 | 作成日時:2021年11月20日 22時