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理子ちゃんが出発を遅らせたいと言ってきた。
もっとこの時間を過ごしたいということなのだろう。
でも五条も夏油も体力的に疲れているんじゃないだろうか。
ところが予想に反して、五条は賛成した。
最初の頃は理子ちゃんが学校に行くことにも怒っていたから意外だ。
沖縄観光をしようと言い出したのも理子ちゃんのことを考えてのことみたいだし、何か考えが変わったのか。
「悟。昨日から術式を解いてないな」
「え、まじ？」
私は夏油の言葉に目を見張る。
「睡眠もだ。今晩も寝るつもりないだろ。ほんとに高専に戻らなくて大丈夫か？」
「問題ねぇよ。桃鉄99年やった時の方がしんどかったわ。それに、オマエもいる」
五条は夏油の肩をポンと叩く。
六眼と無下限呪術を併せ持つ五条が、こんな風に信頼を預けられるのは夏油だけなのだろうと思う。
夏油は肩を叩かれて溜め息をついたが、その顔は嬉しそうだった。
「A、行こう」
手を差し出す夏油の表情は朗らかだ。
夏油がずっと心の底から笑えるように、息苦しくならないように、必ずこの任務は成功させなければ。
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作者名：穂波 | 作成日時：2021年11月20日 22時
