00 ─ 後悔 ページ1
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「───傑が集落の人間を皆殺しにした」
その言葉を夜蛾先生から聞いた瞬間、目の前が真っ暗になった。鼻の奥がツンとする。
隣で五条が先生に何やら食い下がっていたが、その言葉も耳に入ってこなかった。
そんなはずはないと信じたかった。
でも、夜蛾先生が嘘をつくはずがない。
どうして言ってくれなかったのか。苦しんでいたなら話してくれたら良かったのに。
そんな後悔がこみ上げてきたが、もう、どうしようもなかった。
どうすればいいのか分からなかった。
ただひとつ夏油が敵になったということだけは、はっきりと分かった。
••✼••
その話を聞いてから数日後、偶然、渋谷で夏油に会った。
「夏油……」
私は道で夏油の姿を認め、目を見張る。
「久しいね、A」
「どうして、呪詛師なんかに」
「硝子から聞いただろ?それ以上でもそれ……」
「そういうことじゃなくてっ、」
なんで教えてくれなかったの、そう言いたかったけど夏油と目が合うと何も言えなかった。
「じゃあ、どういうことなんだい? 猿は嫌い、それが私の選んだ本音」
猿とは非呪術師のことだろうか。
「傑!」
私がそう呼ぶと、今にも歩き出そうとしていた彼は足を止めた。
そして、ゆっくりとこちらを振り返り、近づいてきた。
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作者名:穂波 | 作成日時:2021年11月20日 22時