6の世界【二重人格の悪い方】 ページ11
「やあ、久し振りだね」
そう言って、大穴を開けて現れたアレン。何故か血塗れで、手にはズタボロの男性を持っていた。
下手に刺激するわけにはいかないからと、私が少しだけ前へ出て「そうだね」とだけ返す。するとアレンは持っていた男性を「お土産だよ」と置いた。
「ユーリイさん…?」
ロシアにそっくりな男性、ユーリイさんだった。
アレンは訊いてもいないのに説明してくれて、ズタボロなのはヴィクターのせいだと判明した。どうやらあまりいい扱いは受けなかったようで、使い古した雑巾並みにボロボロな上に薄汚れている。
「ねえ、君は優しいだろう?彼を助けたいだろう?こっちに来て受け取ってよ。じゃないと…首を撥ねてしまおうかな」
ごついナイフを取り出して、ユーリイさんの首に当てるアレン。多分、アレンはいま二重人格の悪い方だ。ただでさえ無いヒーローらしさが更に無い。
私が行こうとしても、皆が認めるわけはなかった。
沈黙。
嫌な沈黙が続いている。
「あは。君は優しいけれど、他は違うものね?なんて優しくない奴等だ。恩を感じないのか?まあいいや」
そう言っているアレンを他所に、ユーリイさんは無理に動いて首を撥ね飛ばされてしまった!
撥ね飛ばされた首を植物の蔦で掴み、傷口に合わせて塞いだユーリイさん。あっという間の出来事だった…
そのまま何の障害もなく私の横へ来たユーリイさんを、アレンは気に食わなそうに「失敗作の癖に生意気だ」と悪態をついた。
失敗作だとか、そういうのが問題なんじゃない。ヴィクターやアレン達は倫理観が滅茶苦茶な上に、歩み寄る気もないから相容れないのだ。
今もそう。何故ユーリイが受け入れてもらえたのか考えていない。自分が拒まれる筈がないと思っている。
構える私達に、アレンは心底悔しそうに「残念だけど…」と口にした。
「君を迎えるにはまだ早くてね。君がこれ以上ロキに目をつけられる訳にはいかないんだ。暫くは接触できないけど…ヴィクターはそう考えていないようだ。オリバーと組んで何かするかもしれないから、忠告だけするよ。じゃあね、A」
一方的に言って去るアレン。穴は開いたままで、アメリカは静かに「彼は壊したものも直さないのかい?」と怒っている。
確かに君はあれだもんね。壊した扉をよく直しているもんね。でも、直すよりも壊さないように気を付けた方がより良いかな!
「A。多分、アレンくんは嘘を混ぜて言っていると思うから、気にしない方がいいよ」
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ヴァーニャ(プロフ) - ぴーちゃんさん» コメントありがとうございます!自分の萌えの為にアレもこれもと欲望ごった煮で書き始めた為、アナザーキャラという変態たちを出していいのか不安でしたが、そう言っていただけると安心しましたし嬉しいです!更新は…気長にお待ち下さい(^^ゞ (2019年8月11日 17時) (レス) id: 3ca6ab6753 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーちゃん - まだ御使いの9までしか読めてないけどこのシリーズ大好きです。何年か前からヘタリアにハマりっぱなしだし、もっとはやくから応援したかったです…。今さらですが応援してます、更新待ってます(((o(*゚▽゚*)o))) (2019年8月9日 13時) (レス) id: 50f98fc46b (このIDを非表示/違反報告)
ヴァーニャ(プロフ) - めめさん» 遅くなりましたが、コメントありがとうございます!忙しいせいで更新が遅くなりすみません… (2019年6月14日 19時) (レス) id: 3ca6ab6753 (このIDを非表示/違反報告)
めめ - 待ってました〜〜〜〜!!!!!!!! (2019年6月9日 2時) (レス) id: dff1165fa4 (このIDを非表示/違反報告)
ヴァーニャ(プロフ) - めめさん» 嬉しいコメントありがとうございます!思っていたより長く続いてますが、これからも宜しくです! (2019年2月23日 18時) (レス) id: 3ca6ab6753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヴァーニャ | 作成日時:2018年11月20日 18時