国達と神様の御使い１５

６の世界【子は親に似る２】 ページ5

結構手軽に出来たロシアの分身は、それはもうロシアに似ていた。

…私から離れたがらず、にこにこしながら本物と成り代わってやると思っている節がある。

正直言って、失敗に近い。

「オリバーの監視が君の仕事なんだよ」

「やだよー」

ずっと“やだよ”とか“えー”とか、そういう事ばかり返してくる。

日本は小さく「遺憾の意」と呟き、分身ロシアを消そうとした。

が、分身でもロシアはロシア。謎の技術力で支配権を塗り替え、消される事を阻止した！

けれどもパクリとロシアもちに食べられ、マフラーだけ残して消えた分身ロシア。

全員―――特にアイスランド―――がドン引きする中、ケプッと呑気にげっぷをするロシアもちさん。既にいつもの大きさに戻っていて、消化した事が解る。

かつて大きなドラゴンを飲み込んだこともある謎の生物に、改めて畏怖するドイツ達。

イヴァンだけは解剖したそうな顔で、くるくるとメスをもてあそんでいるのが怖いが、気にしたら負けだろう。

「…さて、貴様達の用事は済んだか？何やら催眠の異能者辺りが悪さをしたようだが、我輩的に我々の敵であり、銀河連邦の、いや人類の敵だと思っているのだが…どうやら貴様達は詳細まで知っていそうだな。ふむ。ポーカーフェイス揃いで素晴らしいが、そこな眼鏡男子！」

いきなりびしりとヘルズ闇医者に指差されたアメリカ。困った顔をしている。

「お、俺かい？」

「何処まで明かすべきか、敵に回る確率は何％か、それを考えている雰囲気がしたぞ。貴様は戦争ドウテイではないな？」

「…まあ、確かにやりまくりさ」

「しかしどうやらこの中では一番顔に出やすいようだな。尋問官や外交官ではない感じがするぞ」

「違う、かな。何故そんな事を気にするんだ？」

「血の臭いがするのだ。貴様達は。特にあの…歌い手の男は地獄のような臭いがする」

ヘルズ闇医者に地獄のような臭いと称されたイヴァンは、楽しげに眉を上げた。そのドＳそうな雰囲気に、ヘルズ闇医者はたまらず叫ぶ。

「最高だ！我輩は素敵な痛みを欲しているのだ！貴様達に着いていけば、ヘヴンへ行ける！！敵をいじめる半分…いや、流石に言い過ぎか。十分の１に満たなくてもいい！僅かばかりでもいいから私をいじめろォォォ！！！」

「気持ち悪」

…わあ、初めて見た。イヴァンが気持ち悪さに凄い顰めっ面したのを。這いずる芋虫の大群とか見ても崩れないのにさ。

用事は終わっていないので無視して、日本に話しかける事にした。

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