無題 ページ17
「□□□□」
凡そ人では吐き出せぬような声で何かを呟きながら歩く男が1人。暗い町の中を歩いていた。
吹雪いているせいか道路は凍り付き、車一つも通らない。町はしんと静まり返り、何語ともいえぬ男の奇っ怪な言葉がよく通る。
「――――ああ、寒いなあ」
ようやく人の理解できる言語でそう呟いた男は、頭に付けた向日葵のヘアピンを撫でて悪態をつく。
「なんで邪魔をするのかな、アレンは。邪魔だなぁ。本当に邪魔だなぁ。殺しても殺しても生き返るのが厄介だなぁ」
苛立っては歯軋りをする男。その男は便宜上ヴィクターと名乗っている。
もしも生きている人間が彼に近寄れたならば嫌でも気付くだろう。吹雪は、彼を中心にして出ている事に。
その吹雪は、彼の人を嫌う心から発生している。魔力で発生させている。
それを彼自身は気付いていない。
彼が積もらせた雪は非常に溶けにくく、彼が去ろうとも残り続ける。
まるで彼の、忘れてほしくないという願いのように。
「…本当に寒いなあ…Aが暖めてくれないかなあ」
「…む」
なんだか急に寒気がした。誰か私の噂話でもしているのだろうか。
アメリカが時間切れで帰ったので、とても静かになった部屋で紅茶を飲む。
今はイギリス、ロシア、プロイセン、ロヴィーノ、アイスランド、ハンガリーで、話している最中。
アレンが帰った後で見つけたブツについて、議論をしていた。
卵…みたいなものなんだけど、なんだか動いているのだ。
色は赤色。触ってみた感じ、やや暖かく固いらしい。
ロシアはやたらと『アレンくんが産んだ卵』と主張しているけれど、イギリスが一生懸命に否定していた。私も違うと思う。
「ならこれは何なんだろうね。ロヴィーノくんは解る?」
「あー…少なくても不味そうな外見してるのは解るな」
コツンコツンと卵を叩くロヴィーノ。そういや私は触ってみてないなと思い、卵に近寄ってみる。
ん?音がする?
「ぽよーぽよーと可愛い声がするな」
「!」
割ってみたら丸いピンクのモンスター、かーびぃさんが出てきた。なんだか手足を動かし説明してくれている。
「イギリスに似たやつ…オリバーかな。オリバーがヨッシーに似た生き物を造ってばらまいている。僕はそれに引っ掛かった。そう言いたいの?」
「あい!」
頷くかーびぃさん可愛い!
はぁ…ヴィクター分身だけでも大変なのに、オリバーの製造物まで散らばってるとか考えたくもないよ。
早くロシアんちに帰りたい。
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ヴァーニャ(プロフ) - ぴーちゃんさん» コメントありがとうございます!自分の萌えの為にアレもこれもと欲望ごった煮で書き始めた為、アナザーキャラという変態たちを出していいのか不安でしたが、そう言っていただけると安心しましたし嬉しいです!更新は…気長にお待ち下さい(^^ゞ (2019年8月11日 17時) (レス) id: 3ca6ab6753 (このIDを非表示/違反報告)
ぴーちゃん - まだ御使いの9までしか読めてないけどこのシリーズ大好きです。何年か前からヘタリアにハマりっぱなしだし、もっとはやくから応援したかったです…。今さらですが応援してます、更新待ってます(((o(*゚▽゚*)o))) (2019年8月9日 13時) (レス) id: 50f98fc46b (このIDを非表示/違反報告)
ヴァーニャ(プロフ) - めめさん» 遅くなりましたが、コメントありがとうございます!忙しいせいで更新が遅くなりすみません… (2019年6月14日 19時) (レス) id: 3ca6ab6753 (このIDを非表示/違反報告)
めめ - 待ってました〜〜〜〜!!!!!!!! (2019年6月9日 2時) (レス) id: dff1165fa4 (このIDを非表示/違反報告)
ヴァーニャ(プロフ) - めめさん» 嬉しいコメントありがとうございます!思っていたより長く続いてますが、これからも宜しくです! (2019年2月23日 18時) (レス) id: 3ca6ab6753 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヴァーニャ | 作成日時:2018年11月20日 18時