６の世界【悪霊館その２】 ページ31
破壊した扉の中に勇ましく足を踏み入れたアメリカ。
しかし、遠くに人形のゆらゆら揺れる影を発見してくるりと此方に向き直し立ち止まる。
「…この先は行き止まりみたいだ！」
冷や汗だらだらと浮かべた弱々しい笑顔で言い切るアメリカに、ロシアは冷たく「君ったら怖いだけでしょ？」と吐き捨てた。
アメリカは確かに、誰に訊いても肯定するくらいにあからさまに、恐怖している様子を見せていた。前々から幽霊の類いは苦手だと言ってるしね。
しかし、ライバルであるロシアに言われて認めるのは癪だったのだろう。
赤ん坊鹿の如く立っていたアメリカは、仔猫のようにロシアを威嚇した。
「怖くはないよ！ただ攻撃が効かないから警戒しているだけさ！俺は蛮勇を振るうタイプじゃないからね！」
それは説得力のある台詞だった。…小鹿みたいな立ち方でなければだけど。
勿論、私でもただの言い訳だと解るのにロシアが悟らない筈もなく。
ぷっと思い切り馬鹿にした顔を浮かべた事により、アメリカは憤った。
「怖くないったら！」
鼻息荒く前を向いたアメリカは、それを見てしまった。
何も填まっていない眼窩は暗く、しかし仄かに光っている。唇は裂けていて、口避け女の様。
ぼろぼろの雑巾のような肌は所々がカビだらけで、裂けた肌からは蛆虫に似た別の【ナニカ】が見えていた。
「アメリカ？」
また立ち止まったアメリカのSAN値が心配になり、名前を呼んでみたが返事はない。
イギリスが「どうした？」と訊いているのも無視して、アメリカは徐に銃を手にした。
そして叫ぶ…
「バイオ○ザードなら得意なんだぞ！！」
ゾンビ擬きもびっくり。アメリカさんの輝く笑顔。あと容赦のなさ。
ルッツさんも引くぐらいテンション爆上げなアメリカは、逃げるゾンビ擬きを執拗に攻撃。
思わずロシアを見ると、普通の顔してローストビーフのサンドイッチを食べていた。興味がないようだ。
「食べる？」
「よ、よくお肉食べれるね」
辺りに飛び散る肉の破片――先の地獄絵図よりはましとはいえ、とても酷い光景が広がっている。
そこで爽やかに肉を食べるロシアさん。…似合う。
アメリカさんはゾンビ擬きを倒し、鍵を手に入れた。
「この先の扉の鍵かなー？」
半壊した廊下を歩いていくと扉を発見。
アメリカが意気揚々と鍵を扉に差し込むと、鍵が回らなかった。違う鍵らしいが…
「ふんっ！開いたよ！」
ドアノブをもぎ取って嬉しそうなアメリカさん。鍵の意味とは。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 138人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ヴァーニャ(プロフ) - りーあんさん» 嬉しいコメントありがとうございます！私、変態＆ヤンデレキャラが好きでどこまで書いたら許されるのかびくびくしながら書いてますので、案外オリバーさんが受け入れられてホッとしてます(笑)更新頑張ります！ (2018年11月4日 20時) (
レス) id: 3ca6ab6753 (このIDを非表示/違反報告)
りーあん(プロフ) - いつも楽しく読ませていただいてます！オリバーけっこう好きで、出てくるたびにうおおおってなってます！更新頑張ってください！ (2018年11月3日 21時) (レス) id: 5c83230587 (このIDを非表示/違反報告)
ヴァーニャ(プロフ) - 宇宙領ロシア州さん» 嬉しいコメントありがとうございます！更新時間がまちまちですみません… (2018年10月12日 19時) (レス) id: 3ca6ab6753 (このIDを非表示/違反報告)
宇宙領ロシア州 - いつも楽しく見させていただいてます！ (2018年10月12日 19時) (レス) id: e2e2848499 (このIDを非表示/違反報告)
ヴァーニャ(プロフ) - 抹茶さん» フランスさんじゃなきゃ、悪戯で済まなかったですよね(笑)大罪達も流石に全裸にされたら怯むと思われます(約２名省く) (2018年9月29日 19時) (レス) id: 3ca6ab6753 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ヴァーニャ | 作成日時：2018年9月7日 23時
