３の世界【諦めてなかった】 ページ10
「あ、日本！やっぱりこれはデートじゃないから、ちゃんとしたのは後でしようね」
女友達同士が軽く使ってるようにデートと口にすると、日本は頬を赤くして「嬉しいです」と言う。可愛い。
「私が好きですか？」
「え？うん。友達として好きだよ」
「そうですか…あ、ここにカレンダーがあるんですけど」
そう言ってカレンダーを取り出す日本さん。見てみると本当にカレンダーだった。
「名前書いてもらえますか？飾るのです」
飾る…いや、飾っても楽しくないだろ日本さん！
可愛い顔で私に頼んでくるので断れなくて受け取ろうとし――そこで銃声がしたと思えばカレンダーが撃ち抜かれていた。日本はいつの間にか退避済である。
「危ないですよロシアさん」
静かに深く怒っているらしい日本は、しかし顔は笑みを浮かべている。怖い…
対するロシアは真顔で銃口から出る煙をフーッと息掛けて散らしている。
「A。誰かに名前を書かされそうになった時は気をつけて」
「え？でも日本だし――」
「僕、日本くんが何をしたかったのか予想できてる。筆跡を真似て婚姻届に書こうとしてたでしょ」
「チッ」
ロシアに指摘された日本が舌打ちした。
え…ま、マジかよ…
「で、でもロシア。筆跡を真似なんて無理だよ。癖とか真似れても、筆圧の掛け方とかまで真似する事は出来ないんだから」
「鑑定したらバレるだろうけど、婚姻届をわざわざ鑑定したりしないでしょ？その為に証人も必要なんだから」
「そんなことと無縁だろうによく知っていますね」
「僕って勉強家だからね」
「そんな事を学んでどうする気なんですかねぇ。意味ないのに」
「うふふ」
二人して笑顔で会話している筈なのに、なんだか寒くなってきたぞ…
「Aを娶るということは僕を娶ることだよ」
「無茶苦茶ですね。ロシアさんは要らないんですけど」
「僕もそういう意味では君は要らない」
私がブリザードに耐えれなくなってきたその時、ドスドスドスと誰かが高速で走ってきた！
「ロシア！君ってば勝ち逃げ狡いよ！」
わざと空気読まない系男子、アメリカちゃんが走って来た。た…助かった！
「メリカちゃん！」
「A！えへへ、急に飛び込んできて可愛いんだぞ〜」
急に飛び付いたというのに、微動だにしないで受け止めたアメリカ。可愛いのは猫耳付いてる君だよ！
「眼鏡野郎に抱きつくなんて…Aをオシオキしなきゃ…」
…ロシアからひっくい声が聴こえた気がするけど気のせいだよね！
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作者名：ヴァーニャ | 作成日時：2017年3月10日 0時
