3の世界【ふたりぼっち】 ページ9
「キルデスやろうよ!」
アメリカがダイスとか持ってきてそう言った。
ちなみに今は噴水庭園に設置されたベンチに座って疑似太陽を見ていた所です。
私は【きるです】が何か解らないしフランスが改良したらしい城の中を探索したかったので、アメリカとフランスとアーサーとハンガリーとロシアとベラルーシを残して去る。
…何故か日本君が後ろから付いてくる。
横に並んで手を繋ぐとちょっと嬉しそうにはにかんだ。可愛い。
「日本はやらなくて良かったの?きるです」
「前に言ったではありませんか。デートをしたいと」
ぎゅうぅぅと握ってにこにこ微笑む日本。デートって言っても…
「全く人がいないし観光名所もないよ?メイド服着てないし」
「メイド服は後で着てもらいます。あ、人が居ない方が私好みですよ。観光名所も…貴女と一緒だと意味ないですね。貴女ばかりを見てしまいますから」
ぐふっ!!
無駄に爽やかな笑みでどこの乙女ゲーだよって感じの台詞を口にした日本。やってみたかったんですとか言いながら、所謂恋人繋ぎをしてきた。
「あ、あの…日本…」
「静かですね。此処は」
「あ、私のマイホームは招かざる客は入れないみたいだからね。虫の一匹も居ないよ」
「素敵です。蚊やGや軍曹に悩まされませんね」
軍曹?誰の事だろう?蚊なんかとか並べて言ってるから虫だろうけど。
軽く喋りながら見て回っているけれど、広大な城の中が自分ちじゃないようなアウェイ感が凄くして仕方ない。
しかもフランスの働きにより、城の中が前よりきんきらきんになっている。壁画とか凄い。
「ここは…鏡の間ですね。ヴェルサイユの鏡の間よりやたら豪華なんですけど」
「家主の筈なのに寛げない…日本人らしく畳のある家をどっかに建てようかなぁ」
「それは良いですね!で、建てるのは姫路城ですか?大阪城ですか?」
「城はもう良いです…」
私がげんなりと答えると、日本は何が嬉しいのか柔らかい顔で「私も城は見るだけで充分です」と笑った。
「…なんか日本、テンション高くない?」
「え?ええ、貴女と二人きりですから嬉しくて」
「そうなんだ…」
私はそんな面白い人間ではないと思うんだけどな…
日本は小さく何か呟いた。
「このまま貴女とふたりぼっちになれたら良いのに」
「なんか言った?」
「いえ、なにも。ただお夕飯をどうしようかとぼやいただけですよ。アメリカさんが凄い食べるじゃないですか」
「あー…ダイエットメニューにしようかな」
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作者名:ヴァーニャ | 作成日時:2017年3月10日 0時