３の世界【大丈夫】 ページ47
夢子ちゃんの悲しい気持ちを全て消し飛ばせるわけではないけれど、今の所はこれで大丈夫だろう。
きっと時が彼女を癒してくれる筈だから…
夢子ちゃんは暫く家の中をじっと見てから出て、道中の変な所で寝転ぶ両親達を見つけた。
「…これ以上は愚弄させない」
覚悟を胸に、学校に勇み足で向かう夢子ちゃん。それは良いのだけど…
「うさぎさんが見えてるわよ」
「ふぇ？」
ハンガリーがそう指摘すると、夢子ちゃんは不思議そうに首を傾げた…が、アーサーの言葉で真っ赤になる。
「お子様ぱんつが見えてるぞ」
「！！」
夢子ちゃんに結構本気でボカボカと殴られるアーサー。確かにアーサーの言い方悪かったけど、見えたのは不可抗力だし殴るのは理不尽では？
座ってスカートが捲れてたらしい夢子ちゃんは、直してズンズン進んでいく。
アーサーの殴られた頭を撫でると「あいつサバンナでも生きていけるんじゃねーか？」と呆れていた。
「そういうのはデリケートな問題だから男性は言っちゃ駄目だよアーサー」
「Aなら殴らないのに」
「まあまあ、若い娘だから仕方ないよ」
「…Aも若いだろうが」
まあ、家事をしていましたからね。多少はおばちゃんじみてても仕方ないよね！
日本はにこやかに「いつでも良き嫁になれますね婚姻致しましょう」と流れるように求婚してきた。本気かどうかたまに解らないんだよね日本さんは。
今の所本気くさい気はとてもするけれど、精神衛生の為にスルーしておいた。あの黒目の奥にある深淵が怖い…
根が素直で良い子な夢子ちゃんは、殴った事と先に進んだ事を謝ってくれた。
アーサーは許さんとか言って、夢子ちゃんの手を勝手に掴んだ。
「許して欲しかったら危険な事を１人でやるなよ」
「…うんっ」
ど、どうしよう…アーサーが普通に紳士だ…！
そんな二人をガン無視し、ロシアとアメリカは縛った男性達を持ってきて並べていた。一緒に作業したりして、仲悪いのか良いのか解らない二人だね…
「好きな奴に撃っても良いんだぞ」
「今なら合法で殺り放題だよ」
「え、え…」
ふざけすぎの白熊さんとHEROを叱るハンガリー。ベラルーシは銃が嫌なら爆弾をとグレネードランチャーをそっと渡していた。おい。
攻略対象だけを引き離して置く。麻布を頭に被せるという、ロシアの妙な配慮がされている。
何処かの捕虜みたいな姿の攻略対象に、夢子ちゃんは躊躇ってから引き金に指をかけた。
――数秒後、軽い銃声が室内に響いた。
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作者名：ヴァーニャ | 作成日時：2017年3月10日 0時
