3の世界【灯火は戻らず】 ページ42
残りの攻略対象は、神様に聞き出して判明した。学校関連の奴が二人に宇宙人一人…らしい。
一人は夢子ちゃんの幼馴染の男。人懐こいワンコタイプのヤンデレらしい。
アメリカをちらりと見たら目が合った。凝視していたらしく、不思議そうに、でも嬉しそうに小首を傾げた。可愛いけど怖いよ君。
アメリカタイプの幼馴染に、生真面目でクールな性格した同級生…か。
「僕みたいなタイプの同級生かぁ。気になるね!」
…レモンの蜂蜜漬けを盗んで食べちゃうような白熊ちゃんがわけの解らない事を言っているのは無視して、宇宙人をどう捕獲するか悩んだ。
どうやらまだ夢子ちゃんと接触すらしていないらしいが…
地球にやってくるのは何時になるか解らないので、そいつは後にする事に。
と、話し合う私達を気にしながらも、夢子ちゃんは攻略対象が消えた辺りをじっと見つめていた。
震えながら床を触り、唇を噛み締める夢子ちゃん。
割り切れる程殺伐とした生活は送っていなかったのだろうし、仕方ないね。
私の世界は…まあ、近所のおばちゃんとかも軽いアイテムダンジョンくらいならGを退治する感覚で制覇してたからね。私のおばあちゃんも多少は耐性があった筈。
――でも吐かないだけ強い子だよね、夢子ちゃんは。
ロシアは熊耳をもふもふ動かしながら、夢子ちゃんを見守っていた。気になるらしい。
私はとりあえず美食家二人と仲良く夕飯の片付けをしつつ、鼻唄混じりの歌を口ずさむ。
「嬉しくって〜♪ふふ〜んふふ〜んふふふふふ〜ん♪」
「…フレッシュグッデイってなぁに?」
気持ちよく歌っている所、ロシアに意味不明な言葉を訊かれた。何故か日本が腹を抑えて笑う。
「古いネタを何故知っているのですかロシアさん…!?」
「?」
「ま、まさか…天然…?」
「??」
意味がわからなくて小首を傾げるロシアに、私も合わせて傾げる。フレッシュグッデイって何なんだろう?
「そんな…Aも知恵袋ネタを知らないとは…」
愕然とする日本とは余所に、夢子ちゃんは暗い顔ながらも少しだけ笑ってくれた。やっぱり女の子は笑ってる方が可愛いよ。
「フレッシュグッデイじゃなくて、うれしくってですよロシアさん」
「あ、そうなんだね。なんか独特の抑揚だったから聞き間違えちゃったよ」
フランス、ハンガリー、スペインは意味が解ってじわじわと面白くなったらしく、微妙に肩を震わせて笑っていた。
ロシア…もしやわざと聞き間違え――てなさそうだね。
94人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヴァーニャ | 作成日時:2017年3月10日 0時