3の世界【装備を整える】 ページ39
夢子ちゃんは俯きながら私に教えてくれた。
両親が死んで悲しかったこと。
両親が死んで呆然としていた時に、願いが叶うという怪しげなサイトを見つけたこと。
悲しみに明け暮れ参っていた夢子ちゃんは、怪しいと思うもいろいろと悩みながら打ち込んだこと。
――ただ一つの願い、自分の両親も居る幸せな世界に行きたいと……
なまじ叶ったように見せかけられていたばかりに、夢子ちゃんは『お母さん達が死んだ事が夢だったのでは』と最初は思ったらしい。しかも学校が丁度連休だったとか。
連休明けで学校に行きいろいろと可笑しいと気づきつつも、両親が死んだ事を夢だと思い込もうとしていた夢子ちゃん。
「またお母さんが死んでしまうと思ったら…余計に悲しいなぁ」
アメリカはそっとノートPCを取り出し、ある動画を夢子ちゃんに見せた。
好奇心から、その動画を横から盗み見る。…見たのを後悔した。
夢子ちゃんが青ざめてその動画を、彼女の両親達が真顔で壁に当たり続けているのを見ている。なんだこのホラー動画。
「これは君の両親じゃないよ。絶対」
「…確かにそうだと認めたくないです」
渋い顔でアメリカの言葉に同意する夢子ちゃん。
美しい思い出が、何とも言えぬホラー動画でけがされたような気分になるよね。確かに。
…でも…なんだか悲しくなってくるなぁ…
生き返ったと思ってた両親は、実はただのデータだったなんて。悪神は本当に性格悪い。
夢子ちゃんはこれはゲームだと強く思うことにしたと言いながら、ロシアから武器を借りていた。
初心者でも扱えるような武器らしいが…非力な夢子ちゃんにはきついみたいだ。試しに撃たせたらよろけてしまった。
そこでスペインのおまじないで筋肉増強効果がついてるバングルをあげる事にしました。別に返してもらわなくても一番ささやかな効果だしね。
世界のお兄さんと自称するフランスは、持ち前の面倒見のよさを発揮して夢子ちゃんに銃の指導をすることに。
アーサーとアメリカとロシアの容赦ないトリオも教えようとしていたけれど、軍隊式なんて非力な女の子には耐えられないだろうから止めておいた。
「ドイツくんよりはましなのにぃ。護身術(ただし露式)教えるぐらいだよ?」
「そうさ!護身術(米式)教わるぐらい、プロイセンの訓練を受けるより全然軽いよ!」
「婦女子1人暮らしなんて、パルクールぐらい使えないと危なくて駄目だろ」
そんなスキル覚えなきゃいけない修羅の国に住んでないと思うの…
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作者名:ヴァーニャ | 作成日時:2017年3月10日 0時