3の世界【頑張る吸血紳士7】 ページ18
それはなついている…というよりも、ただ興味を示しているだけのようだった。
直視すると精神力がガリガリと削られていくのが解る。アーサーは出来るだけそれから視線を外していたのだが、何故かAはそれを気にせず「この子なんか変わってるね」と呑気に口にしていた。
(精神力強すぎだろA…)
攻撃的な所がないわけではないらしく、それは気が向けば此方を殺そうとしているのが解る。今は何となく攻撃をしていないだけだ。
興味物であるAを観察し終わったのか、それはあっさりと去っていった。消えちゃったとAは呑気にしているが、気が触れてしまう前に去って良かったとアーサーはホッとする。
「…恐らく、ただの好奇心で来ただけだろう。傍迷惑な奴だったな」
「結構攻撃的だったねぇ」
「…お前、危ないってちゃんと解ってたのか?」
「うん。相手、私の精神力をガリガリ削ってるのに呑気にしているのが少し面白く感じていたみたい。魔力でガード出来ない人にはきついけど、ロシア等の国達には多分効かないだろうね」
「ああ、人間とは精神の構造が微妙に異なるからな。俺も多分気が触れるまではならないだろうし」
アーサーはコイツ思ったより冷静だなとAを見ながら、吹き飛ばされ消されてしまった煙草を拾った。
「彼奴、人の数少ない煙草を消しやがって…」
「もうあんまり無いの?」
「後で買おうと思ってたからな。アルから少しだけ拝借したのしかない」
「アルフレッドも煙草吸うんだ…」
「そりゃな。アルの奴、最近ずっと電子タバコやってるから普通のをあんまり持ってなかったんだよなぁ。…あーニコチン切れたら苛々する」
「なんかその発言ヤンキーみたいだよ」
「あん?こんなに紳士な俺を見てヤンキーみたいだと言うのはお前らぐらいだぞ?」
(いや…)
アーサーはピンクのシャツに黒いスーツを着崩して着用し、尚且つふわふわの金髪に白い耳にはピアスが幾つも開けられていてじゃらじゃら。ピンク掛かった赤い目に、前に見た時には太腿らへんにタトゥーまで入っていた。
それを見てヤンキーみたいだと思う人は多分凄く多いだろう。
ちなみにイギリスはアーサーと違って服はかっちりと着込むし、ピアスをつけたりしていないが、タトゥーは同じ所に同じようなのを入れている。
「な、なんだよその目は」
「別に?」
イギリスと違ってアーサーは本当にヤンキー…ていうか堅気には見えないように見えるなとAは思ったが黙っておいた。
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作者名:ヴァーニャ | 作成日時:2017年3月10日 0時