３の世界【頑張る吸血紳士１】 ページ12
「A。ちょっと悪いんだが血をくれないか？」
そう言いながら、アーサーはアップルパイをアメリカの眼前に置いた。不機嫌だけど釣られてぱくぱく食べ始めるアメリカのふわふわの髪を撫でている。吸血紳士が餌付けしとる…
で、血液を所望…だって？
いろいろ頑張ってくれてるし、それなのにコレクションしまわれてるし、ちょっとぐらいなら良いかな。
首筋…は正直恥ずかしいので、指先を切って「どうぞー」とアーサーに差し出す。
「ああ、Thanks」
ぴちゃ…ぴちゃ…と、アーサーの赤い舌で舐られる。私の前で屈んで、何故か上目使いで私を見るアーサー。猫みたいな目が挑発的に笑みの形を作った。
丁寧に舐め終わってから、頬にキスして去っていくアーサー。後ろ手でじゃあなと振っているのを呆然と見ていると、夢子ちゃんが興奮した声を出した。
「消毒しましょう！さあ！早く！」
「僕が消毒液を持ってるよ。Aの大親友の僕が消毒するよ」
手慣れた様子で消毒してくれるロシア。更にはでこぴんしてきた。
「いった！ロシア力強いからでこぴん痛！」
「おバカさんなのかな？血をあげるんなら注射器があるからそれ使えば良かったんだよ？いつもばか正直に切って直接あげるなんてまぞなの？僕が踏んであげようか？」
「まぞじゃないから踏まないで！潰れちゃう！」
「悪い子にはこうしちゃう」
「ぎゃあぁぁああ！！」
ロシアに肩を力強くガブガブされて、くっきり歯形が出来てしまった。しかも血が滲んでいる。
「あ、やり過ぎちゃった。ごめんねー」とペロペロしてくるぺろりすとロシアさん。彼流の消毒はそれなの？マジ白熊。
それを見てたアメリカと日本がぺろりすとを睨み付け、デュエルを申し込んだ！
前に皆にプレゼントした、軽い魔法の掛かったカードゲームでバトルするみたいだ。
機械にセットすると映像が浮き出てきて、しかもやけに音とかリアルなのだ。
呆気にとられる夢子ちゃんをハンガリーが構い、ベラルーシはぺろりすとにペロペロされた私の肩の匂いをすんすん嗅いでいた。止めてー！
「噛み付きたくなる肩になるにはどうしたらいい？」
「噛み…一応訊くけど、噛みつかせたい相手はロシアだよね？」
「勿論だ」
「…ベラルーシ綺麗だから、多分妹に手を出すの恥ずかしいんじゃない？」
むーと唸りながら私の肩になつくベラルーシ。本当に彼が大好きだよね…
所で、アーサーはどうして血を欲しがったんだろうか。そんなに魔法を使ってたのかな？
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作者名：ヴァーニャ | 作成日時：2017年3月10日 0時
