３の世界【仮説】 ページ1
アーサーがなんか変態だ。いや、変態なのは元からだけど、更に変なのだ。
夢子ちゃんをすとーきんぐしているのだ。
監視癖のあるロシ熊さんの隠しカメラを見ながら、夢子ちゃんを後ろから見守るアーサーを肴にロシ熊さんのお酒を飲んだ。飲んだ端から注がないで！飲みきれないよ！
「Aちゃんお兄さんの白ワインも飲んで〜」
「ん？フランス、白ワイン持ってないけど何処にあるの？」
「僕も白ワイン飲みたい！」
「おーロシアもいいよ、あげるよ。お兄さん特製の白ワイン♡」
そう言って股間をぱしんと叩くフランス。下ネタでしたか。
ロシアが「フランスくんってば面白いこと言うね」と呟きながらワインオープナーを握り締めた。
フランスは冷や汗流しながら「お兄さんのワイン瓶のコルクが抜かれちゃう」とハンガリーの後ろに隠れ、壁にされたハンガリーに破廉恥野郎とフライパンで殴られた。
フランスは痛そうだけど何だか嬉しそうな顔をしている。
のしっと私の頭部に顎を置いて一緒にアーサーを見始めたベラルーシ。頭を撫でたら擽ったそうに笑った。猫みたいで可愛い。
と、そこでアーサーが部屋に帰宅してきた。
「お帰りアーサー」
「おう」
ちゅっと頬にキスしてきたアーサー。私も軽く返しておく。
ベラルーシとロシアに睨まれながらも、アーサーは気にすることなく、すとーきんぐの理由を教えてくれた。
「あれは絶対に何かを隠しているぞ」
「隠しているというと…世界が変わってしまった切っ掛けでもあるのかな？それを知っているとか？だとしたらどうして隠しちゃうんだろう…」
私とアーサーの会話にロシアがにゅっと入ってくる。
「ただの僕の勘だけど…家族が死んだから甦らせて欲しいとか何らかの形で悪神に願っちゃったんじゃないかな？で、喋ったら願いが無効にされちゃうとか」
ロシアの言葉にアーサーは「無くもないな」と考え込む。
うーむ…確かに家族の話が出た時、様子が少し可笑しかったね。
非倫理的健忘症と呼ぶべきものを、人は多かれ少なかれ誰でも持っている。
非倫理的健忘症というのはつまり、人の悪事は覚えているくせに己の悪事は忘れてしまう事だ。
その為、何度でも過去に成功した悪事を繰り返してしまいがちだ。
悪神と何のやり取りがあったか解らないが、夢子ちゃんが悪いことと強く認識しているのであれば説得も容易い筈。
けど…まだ説得も何も出来る段階ではない。
そのままアーサーにすとーきんぐしてもらう事にした。
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作者名：ヴァーニャ | 作成日時：2017年3月10日 0時
