2の世界【我儘令嬢】 ページ33
「では探りをいれて参ります」
くてっと眠ってしまいそうなAにそう告げた菊は、驚異の早着替えで可愛らしいメイドに化けた。
くうくう寝息を立て始めたAはロシアとイヴァンとプロイセンが守っているので安全だろう。
見ればアメリカと日本も何かを仕掛けているようなので、これでもう城に居る貴族達の会話は筒抜けだ。恐らくドローンに隠しカメラの役割をしてもらうつもりなのだろうから。
菊は唇をぺろりと舐めてから、ささっと金髪のカツラとカラーコンタクトを付ける。化粧をすればもう、パッと見は異国人とは思えないだろう。
取材…もとい情報収集の為に培った無駄な…いや必要不可欠の変装は、美少女好きのお口の軽い貴族には大好評であった。
意識のぼんやりとするお香を焚いてやれば、尋問も記憶の改竄も容易い。
ついでに貴族の人間の限界まで調べてみた菊は、Aの元に帰ってきてから取ったメモを見てふむふむと頷いた。
「頑張っても茄子は一本くらいしか入らないのですね」
「何を調べてきたの!?」
何やらAが嫌な予感を察知しているのか、二次元の某国民的アイドルに似た顔を顰めている。そんな顔してもお可愛らしいと菊は思いながら答えた。
「まだ調きょ…訓練していない方にはどれだけのものが入るか試してみてました」
「お願い、それ以上詳しく言わないで」
「おや残念。ベーコンレタス好きな方々に受けそうなネタを仕入れてきましたのに」
「ベーコンレタスバーガーかい!?それは俺も嫌いじゃないんだぞ!」
アメリカが元気よく会話に乱入してきた。ちなみに菊は比喩表現に使っただけで食べ物の話はしていない。
微笑ましいアメリカの様子に頬を緩ませた菊は「私もそうですよ」と返す。
Aは半ギレしてるロシアの熊耳を宥めながら「…他に何か解った事はある?」と訊いてくる。
菊は真面目な顔を作って口に出した。
「流石に林檎を入れたら泡を噴いてしまいましたね」
「…そっち系から離れようか。ていうか鬼畜だな菊さん!?」
「大丈夫です。女泣かせの男の風上に置けない方しか被害…付き合ってもらってませんから」
「それ以上口に出すと怒るよ!」
ロシアが吼えたので、菊はからかうのを止めて仕方なくもう1つの情報を口にした。
「此方をきつく見ていらしたのは王子の婚約者らしいです。なんでもとんでもない我儘で、きつく注意してきてた王子が嫌いだとか」
「その情報だけ言ってくれれば良かったのに…」
「ふふふ」
102人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かななん - シリーズ序盤のほわほわギャグは何処へ……? (2021年12月11日 22時) (レス) @page3 id: 4cf51eeb61 (このIDを非表示/違反報告)
Kちゃん - 王子…実はホモじゃなかったのか…?大好きなお兄ちゃんと遊ぶ(その通りの意味)感覚なんですかねぇ… (2017年6月19日 16時) (レス) id: 2ce2e79cd6 (このIDを非表示/違反報告)
Kちゃん - お久しぶりです…最近サイトに来なかったのでその間に話が貯まっていて読みごたえがあり嬉しいですw しかし…ぷーちゃんが好きとはなかなかいい趣味してるな王子!(倉掃除領) (2017年6月19日 15時) (レス) id: 2ce2e79cd6 (このIDを非表示/違反報告)
ヴァーニャ(プロフ) - sorasiさん» 菊さんはイヴァンさんのやり返してくるギリギリを見極めていますので無事でした。……どんな事をしたかはご想像にお任せします(笑) (2017年1月1日 10時) (レス) id: ed671a183d (このIDを非表示/違反報告)
sorasi(プロフ) - ……どんな誘惑したんだろ。菊さん。 (2016年12月31日 20時) (レス) id: d37c8d6fea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ヴァーニャ | 作成日時:2016年12月9日 19時