あいじょーひょうげんじゅうよん。「愛情と恋情」 urt ※長い ページ32
urtside
A「愛情と恋情ってさ、おんなじだと思う？？」
窓の外をただぼーっと見つめている君。無心を感じるその横顔でさえ、俺には愛おしく見えた。
urt「愛情と恋情？？」
A「うん。」
urt「…急にどーしたんだよ。」
A「…。」
urt「…愛情ってさ、幅広いよな。」
A「…そう、だね。」
長い，長い沈黙。数分かもしれないし、十数分かもわからない。でも、気まずさなんてなくて、心地よかった。
A「…私さ、もう、だめなんだって。」
urt「…は？」
A「もう持たないの。…持って一ヶ月と少しって、先生が言ってた。」
urt「…っ」
頭をバールで強く打たれた気分。
頭が真っ白になって、「嘘だろ」と笑いかけたくても、彼女の表現を見ると声が出なくなった。
urt「…何でそんなに苦しそうな顔するんだよ。」
A「…そりゃあ、うらたくんと会えなくなっちゃうんだもん。」
「当たり前だよ、」そう、彼女は今にも消えそうな、儚い声で言った。
君との出会いは、たしか、あの夏。
花火大会の日、蒸し暑くて、賑わう声がうるさく感じた。
俺は滅多に来ない親戚のお見舞いにきていて、
君を見つけた。
urt「…。」
A「…。」
窓の外を見つめる君。寂しそうで、羨む目。その瞳に吸い込まれそうで、綺麗で。
urt「…あの、」
気づいてたら、声をかけてただなんて。
嘘。すげー緊張したし、めちゃくちゃ意識して声をかけた。
A「…こんばんは。」
urt「…あ、あぁ、こんばんは。花火、見てたんですか？」
A「え？は、はい…。」
君は、優しい、壊れそうな笑顔で言った。
A「…花火、好きなんです。綺麗で、咲いたと思ったらすぐに消えちゃって。」
urt「…。」
ねぇ、何でそんな悲しそうな顔するの。
何でそんな寂しそうな顔するの。
urt「…少し、お話、しませんか？」
教えて、もっと、君のこと。
A「…いいですよ。」
urt「…そっか、両親が、ね。」
君のことを知った。
親から毛嫌いされていたこと。持病を持っていること。
…花火が、好きなこと。
A「…わかってるんです。“ありがたいと思え”とか、“お前なんか”とか。お見舞いに来るほどみんなが暇じゃ無いことも、わかってるんです。」
urt「…。」
A「…でも、この先ずっと1人で死んでいくのは嫌で。」
「自分勝手ですよね」と呟くA 。
urt「…俺が、お見舞い、来るよ。」
A「へ…っ？」
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作者名：ほむぽん | 作成日時：2023年4月6日 1時
