116ネガ ページ18
人間は、一度死んでしまったら生き返らない。
どれだけ多様な個性が世の中に生まれても、その理だけは揺るがない事実だった。いくら母に戻って来て欲しいと願っても、星はロマンティックに叶えてくれるわけでもないし、都合の良い万能個性が現れるわけでもなかった。
死んでしまった母は、二度と生き返らない。二度と、私に笑いかけることはない。二度と……。
『悲しくないの？』
中学の時、友達にそう聞かれた。放課後も個性の特訓に励む私に、私の個性をある程度知っている友達が気になって聞いてみたらしい。
『悲しいから、個性が使える』
私はそう答えた。それは私も納得している答えで、それ以上でもそれ以下でもなかった。私の個性は、私が苦しいほど強くなる。ただそれだけ。私は客観的に自分が苦しいと知っている。
だから────……いや、個性をコントロールするためにそうせざるを得なかっただけだ。主観的に物事を捉えると、自分が置かれている状況を受け入れきれなくて、自分ではない何かにならなければ、私は"私"という人間を見ていられなかったんだ。
『辛かったら……誰かに言った方がいいよ。解決はしなくても、スッキリはするから』
友達は正しかった。一般的にはそれが正しい声のかけ方だったんだろう。でも私には間違いだった。
何度もあの地獄の中で母を
『なおさら話してくれよ！』
切島くんでなくても、A組のみんなならああ言っただろう。それは、彼らが知らないからだ。生き地獄を超えた先にあるものを、みんなは知らない。
その点通形先輩は賢い。彼は私と自分自身にベストな方法を導き出した。
"他人であること"
確かに現時点で私が周りに望むのはそれだ。踏み込まず、想わず、一定の距離を置いた、ただの他人。近ければ良いってもんじゃない。少なくとも私はそういうのが苦手……嫌いだ。でもそのくせ友達は欲しい。
矛盾してる。他人という冷めた関係が好きなのに友達は欲しい。母親が恋しいと思うのに何度も殺す。私は矛盾した人間だ。
そして決して覆らない事実がもう一つある。
「……最低だ」
私は、私が大嫌いである。
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すみた先生(プロフ) - 東屋さん» コメントありがとうございます！！気に入っていただけたようで何よりです😊まだまだ頭の中は迷走中ですが、クオリティ落とさず頑張っていきます💪💪 (2月13日 23時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
東屋(プロフ) - すんごい面白かったです〜っ！！！一気読みしてしまいました……。語彙力が凄くて本当に感情移入しながら読んでしまいました…。夢主ちゃんこれからどうなっていくのかな〜っ！と楽しみにしております！頑張ってください〜💪 (2月12日 23時) (レス) @page11 id: 3ab66d3982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2024年1月24日 16時
