検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:15,476 hit

5話 ページ5

ガラガラとキャリーバックを引きながら改札へ行く。長かった新幹線での移動で腰が痛かった。

辺りを見回すも川上くんらしき人はいない。LINEで話していたとはいえど一年会っていない。だから何を話そうか電車でシュミレーションしてたのに肩透かしを食らった。

(迎えに行くっていうのは冗談だったのかな)

いやあの川上くんはそんな冗談つかないけど。
急用入ったのか。私は川上くんのすべてを知っているわけじゃない。彼にどんな繋がりがあるかなんて妹ポジションの私が知らなくてもいいんだ。

すっかり気が滅入ってしまった。勝手に一人で妄想して、落ち込んでいるだけなのに。

一人で新居に行こうと踵を返したそのとき



「――っAちゃん、ごめん遅れた」


振り返ると、息を切らしてすこし汗をかいた川上くんがいた。高校生のとき、私が「家まで走ろう!」と言うと絶対「やだよ、疲れるじゃん」と返した彼はどこへいったのか。
素直に嬉しい。


「かっこ悪いけど、言い訳させて」


そう言うと川上くんはおもむろに手に持っていたビニール袋を漁った。


「はい、お茶とレモンの飴。疲れに糖分は一時的な抑制でしかないから、すっぱいもの。待たせてごめん、これ買ってた」


さすが川上くん。説得力がある。川上くんに詐欺されたら私まんまと引っかかる自信ある。


「ありがとう、でもそんなみんなに優しくしてると女子に好かれまくって大変だよ?女子って怖いんだから」


まあ、他の女の子に川上くんのかっこよさを気づいてもらいたくないだけなんだけど。



「あー、でも別に。ここまでするのAちゃんくらいだし」



そっぽを向いて川上くんがそうつぶやいた。

社交辞令なんだろうけど私に都合良く受け取ってしまう。こういう所まだまだ子どもだ。
サラリとこっちも何か気の利いたことを返したらいいのに、経験値が足りなすぎる。私は黙るしかない。



「何か言ってよ、恥ずかしいじゃん」



川上くんの耳がこう言いながら赤くなっているのは、まだまだお子さまの私には知る余地もなかった。

6話→←4話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (63 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
192人がお気に入り
設定タグ:QuizKnock , クイズノック , 川上拓朗   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

りりみ100(プロフ) - あずきさん» コメント本当に嬉しいです!徐々にペースを上げられるように頑張りますね〜 (2019年5月28日 0時) (レス) id: 7f5be3d05f (このIDを非表示/違反報告)
りりみ100(プロフ) - のんさん» 今すべて確認し訂正しました。ご指摘ありがとうございます。以後気をつけます......! (2019年5月28日 0時) (レス) id: 7f5be3d05f (このIDを非表示/違反報告)
あずき(プロフ) - 応援してます、頑張ってください! (2019年5月28日 0時) (レス) id: ca76593980 (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - 川上さんの「拓朗」の「朗」が間違っています。直していただけると幸いです。 (2019年5月28日 0時) (レス) id: c1a319b9dd (このIDを非表示/違反報告)
りりみ100(プロフ) - 蒼さん» どひゃー嬉しいです!年上川上さんとか最高ですよね〜。更新頑張ります (2019年5月26日 19時) (レス) id: 7f5be3d05f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:りりみ100 | 作成日時:2019年5月25日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。