【ｲﾅGO】幽霊【霧野蘭丸】 (ページ29)

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一夜明けた。

俺は結局何も出きずに一夜を明かした。

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早くAに会いたい。しかし自ら命を絶つというのは想像するだけで恐ろしい。

日常、ふざけてシニタイなんて言葉を発するが、いざ実践しろといわれると非現実的すぎて何もできなくなる。

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今まで何もしなくたって生きていた体を自分で殺さなければいけないのだ。

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もんもんとしながら俺は朝支度をし、足早に家を出た。

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マサキ「きーりーのーせーんぱっい！」

狩屋がつっかかってきた。

霧野「わっ…何だよ」

マサキ「あれ、元気がないですねぇ～もしかして本当は女装男子だったことが皆にばれちゃったんですか？」

霧野「俺は男だ！！！！」

俺は少し怒り気味に言って狩屋にあっちに行くように手で追い払った。

狩屋はニタニタ笑いながら去っていった。

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神童「マネージャー！…どうしたんだ？今日は何だか実務が疎かになているようだが…」

葵「それが…何だかいつもみたいに手際が回らなくて…」

天馬「三人もいるんだから頑張ってよ！」

葵「もう！三人もってなによ！意外と大変なんだからねぇ！？」

空野が頬を膨らまして言った。

Aがいなくなって、Aが来る前の日常が戻った。

しかし彼女の存在が完全に消えたわけではなかった。

現に空野はそれを実感しているようだった。

浜野「霧野～？顔色悪いぞぉ～」

霧野「…」

俺だけが彼女を覚えている。

俺だけが…

アイツはそれで幸せなのかな。
復讐するはずができなくて、挙句の果て皆に存在を忘れられて。

いいや、彼女はそれで良いというだろう。

それに、俺だけでも彼女を覚えて居れば十分じゃないか。

神童「霧野…」

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帰り道。道路沿いを歩いていた。

今日の部活の反省点を話しながら部活の皆と帰っていた。

俺は相変わらず考え事をしながら歩いていた。

神童「…の、……霧野！！！！！」

ハッとした。足元に向けていた視線を戻し、神童のほうを向いた。

必然的に皆の顔が見えた。
皆俺の顔を見て心配そうな顔をしていた。

神童「霧野…また、悩み事か？」

また、とはきっとAと会う前の考え事の事だろう。

霧野「あ…いや、ちょっとな。」

剣城「相談…のりますよ」

妙に深刻な顔をして剣城が言う。

霧野「いや、いいよ。解決方法は見つかっているんだ。」