20少しの興 ページ20
霧野「お前が来てから何もかもが変だ。」
A「…」
霧野「でも、さっきの廃墟のやつだって…何かあるんだと思ったから…理由か何か」
A「その勘が外れてたらどうするの」
霧野「外れてないと思う。」
A「馬鹿だな、霧野は…」
霧野「…ほら、ついたぞ」
顔を上にあげるとそこには霧野の家があった。
A「お邪魔しまーす」
霧野「そうだ、今日誰もいないんだ。家。」
俺がそう告げると、彼女は少し青ざめた。
A「そう…。」
霧野「とりあえずリビングのソファーで座って待っててくれ。すぐ作るから」
A「手伝う」
？
霧野「はっ？なんでだよｗ俺がご馳走してやるって言ってるのに」
Aは俺の腕をつかんだ。
A「…いいでしょ別に」
霧野「わ、わかった」
なんでこいついきなりこんなにひ弱になったんだ？
とりあえず二人で台所に立った。
A「…あの、これ」
霧野「どうした？普通に切ってくれ」
A「…」
霧野「……っ！！！ちょ、おま…なんだそれ…」
A「トマト…切ったら…なんかぐちょぐちょになった…」
霧野「包丁！！！！包丁の使い方から違うから！！！ｗ」
A「はっ！そうかこうか…」
霧野「違うって！逆！」
A「ワカラナイ」
霧野「…ｗ」
自然と笑いがこぼれた。
こいつ料理がうまい下手のレベルじゃない。
したことないんじゃ…。
A「むー…。ここで見てるから…」
霧野「ったく…すぐ作るから待ってろ。」
A「はーい」
・
霧野「よし！できた！」
A「これは…キッシュ」
霧野「あぁ！この間、作ったらおいしくてな。」
霧野「それにお前の…好物…だか、ら」
俺は自分でもびっくりした。
それよりもAのほうが驚いているが。
A「霧野に…好物なんて教えてない…」
霧野「あ、あぁ俺も…何で知っているんだ？」
Aは俺が作ったキッシュをお皿に盛り
リビングの机まで持っていった。
そして振り向かずにこう言った。
A「前世の記憶だよ」
霧野「前世？」
A「きっと何処かの時代の霧野が私に聞いたのよ。」
霧野「俺が…でも…いや、そう、なのかな」
A「信じなくてもいいけど…キッシュ、冷めないうちに食べちゃおうよ？」
俺は、ああ。と空返事をしソファーに腰かけた。
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作者名：みずい | 作成日時：2014年11月16日 16時
