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神子田「………ごめん、困らせた。ユニオン行く」



『…………い、かないで』



神子田「………ユニオンに?それとも_________黒側に?」



『どっちも、どっちも行かないで』










思わず出たその言葉。神子田の人生だから神子田の好きにしたらいいのにこんな子供っぽい言葉が口から零れ落ちた



立ち上がっている神子田は困ったような顔をして私を見てくれる。ごめん、こんな私が先輩で。もっとメンケア勉強してればよかった。わたしがらだおだったら、ナツメだったらもっと上手に神子田をカバーできたのに。わたしにはその術が何も無い。



神子田の袖を掴んでわたしの口から言葉が零れないようにきゅ、と口を閉める。わたしは何のために警察をやってるんだ。人を助けるため、なのに、わたしはちっとも助けりゃしない。



ナツメだって助けれなかった。ナツメが壊れてるの知ってたのに、わたしはなにも声をかけれなかった。ただ眺めてただけ。そんな後悔もうしたくない。したくないのにわたしの脳は綺麗な言葉を作ってくれない。汚い言葉だけが喉を通りそうになる。



神子田、と声を出せば聞くよ、と優しく声をかけてくれる。そうだ、優しい人しか警察には居ないから、わたしは弱いところ見せれるし、警察で居ようと思い続けれる。
わたしが神子田の優しい人にならないと。










『なんで警察辞めたいの』



神子田「純粋に、疲れた。休もうと思っても次から次に仕事ができて休めない。

 相談する人も全然居ないし、Aパイセンに言おうと思っても大体大型行って無線ですごい忙しそうにしてるし

 ________正直キツい」



『………』



神子田「たまに、ナツメがすんごい羨ましくなる。犯罪してるだけでパイセンに構ってもらえて、ずっとベッタリで。

 俺はこんなに頑張ってるのにー、ってなっちゃった」



『……ごめん、気付けなかった』



神子田「Aパイセンも大変なの超分かるからさ、あんま言えなかった。

 ………………好きな人のこと困らせたくないし、」



『先輩のことなんて困らせまくっていいんだよ、先輩は後輩が悩んでるのに気づけないのがすごい悔しい。

 だから、神子田が話してくれてるの嬉しい』



神子田「ほんとに言ってる?」










わたしが厳選に厳選を重ねた綺麗な言葉を並べれば神子田は半笑いでそう私に言った。
ほんとだよ、とわたしも半笑いで言えば笑う神子田。



よかった。わらってくれて。

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作者名:ふゆ | 作成日時:2024年4月14日 15時

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