六話「この始まりに祝福を。」 ページ9
取り敢えず、秀元は泣いてるAにうんうんと優しく聞いて頭を撫でる。
「あ、私なんだかずっと泣いてますね?!いえ、私そんな泣き虫ではないのですよ…?!でもほら、その最近は嬉しいこと?が多いから、感動して!嬉しくて泣いてると言いますか…!!」
と何故か今の状況に至る説明を必死にするAに
なんだか可笑しくて秀元は、思わず「あははっ、」と笑う。
「大丈夫や、わかってるよ。そない必死に言わんでも…くくっ…Aちゃんはほんまに面白いなぁ…。ふっ、」
ツボに入ってしまったようで秀元は横を向いている。
その横顔は楽しそうでいつの間にかAの緊張も解けていた。
(ああ、出逢ったばかりの人と結婚したのに。
こんなにも穏やかな気持ちなんて…こんなにもこの人といると心が綻ぶなんて。)
Aは不思議な気持ちに浸っていた。
気づけば微笑すら浮かべて、Aは座りながら平伏した。
それに気づいた秀元は少し驚いて
「えっ、ちょ、どないしたん?!Aちゃ、」
「ありがとうございます。秀元さま、私、あなたのお陰で…家の役にも立てました。このご恩返せるかわかりませんが
貴方のそばでどうかこの御恩を返させてください。」
Aの素直なその気持ちに秀元は圧倒された。
こみ上げるこの感情に名をつけるのはまだ早計だろうか。
けれど、今、目の前の真っ直ぐなこの人を
これから少しでも幸せに大切にしたいと秀元は思った。
その気持ちとともに躊躇いがちに秀元は手をやり、Aの肩に置いた。
「気持ちは十分わかったよ、ほら、顔上げてな。Aちゃん。…ありがとうね。お礼を言うんはこっちも同じなんに。」
ゆっくり顔をあげるAに秀元は困ったような笑みを向けて、ことの経緯を話す。
ー
「それなら、、私はお役に立てますか…?秀元さまの。」
話を聞き終わったAから真っ先に聞かれたのはその言葉だった。Aは心から秀元の役に立ちたいと思っているのだ。
「十分だよ。京の町も未だ不安定や。まだまだやることがほんまにぎょうさんあるからね、
…だから普通の夫婦みたいに君を幸せにできるかはわからへんけど、でも、少しでも君が安心して暮らせるよう少しでも幸せにしたいと思ってるよ、その気持ちは信じて…ほし」
Aは秀元の、手を取ってぎゅと握る。
「秀元さんは本当に素晴らしい方です…!私、あなたに会えてよかった…!本当に。なれます、貴方のそばなら、…!」
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黒崎沙夜子。(プロフ) - bossa6brasilさん» 初めまして、私も秀元さん魅力のある方ですよね、私も幼い頃に見て色々ありアニメを見たらすっかり好きになって…全巻買いましたけど、本当に終わってしまって残念ですゆっくり更新してゆきたいと思っております、身に余る言葉ですが励みになります有難う御座います! (2023年1月17日 22時) (レス) id: 71f79be20a (このIDを非表示/違反報告)
bossa6brasil(プロフ) - はじめまして。花開院秀元が大好きで、連載やアニメが終わって残念ですが数年経っても彼に関する作品が見れてとても嬉しいです。黒崎さんの描く文章や世界観が好きです。また楽しみにしております。 (2023年1月17日 21時) (レス) id: 04c0afef8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒崎沙夜子。 | 作成日時:2022年11月29日 16時