四.五話「秀元の考え、是光の困惑。」 ページ7
結局、藍禅家との縁談は破談となった
最初の辺りはお嬢さんも渋っていたが秀元はあっけらかんと笑うだけでお嬢さんはすっかり恋も冷め、ふんと帰っていった
ー
秀元の自室
「それで秀元…お前何を考えている?」
是光は茶を飲みながら、弟の真意を探る
秀元は飄々とし
「何、て。別に。まあそろそろ身を固めておいたほうがいいかなと、思うてな。」
「そういうことではない。誰と身を固める気なのか、と聞いているのだ。お前が心を寄せる女など本当にいるのか?」
秀元は兄を横目でみて、盃の酒を一口、口にしながら月を見る。
「…ええ、月や。あの子と見た空から見る京の景色と月はいつもより穏やかに見えた気もするなぁ…」
「……」
「是光兄さん、僕ね。当主である以上ここを守っていかなあかん。どんな名君も女に溺れてしまえば国は傾く。
せやから、僕はもし妻を娶るなら
身の程を弁え、此処に嫁ぐ覚悟のある子がいいと思ってる。
なんて、そんな子おらへんけどな。願望や願望」
あっけらかんと笑う秀元に、是光はじっと見つめ
「そうだな、お前の考えはわかっている
だが、私が聞いているのはそんなお前の考えに見合ったあの子とは誰だ。と最初から聞いている」
言った
秀元はニッコリと笑った
「綾月家のお嬢さんや。」
「綾月…?…ああ、名家だったものの家だな
今の当主の、父親の代までは周りからの評判もよく人徳の高い名家に相応しい家だったが、、その父親が亡くなり
遺言通り、二人兄弟の兄が家督を継いだものの、病で急死。
そこからが酷いものだ、よくある話とはいえ
使用人が金を盗み、弟、今の当主が、ついたはいいもの
、残ったのはとっくに傾いた家のみ…
そして、家のため一人娘を貴族の妻にさせ家を立て直そうとしたものの、全て破談になったのだと、」
是光は思い出したように話す
「そうや。そのお嬢さんとこないだ息抜きでいったところで会ってな。
これがまた、お淑やかで美しいお嬢さんやったよ」
と思い出しながら楽しそうに秀元は話している
その様子を見て多方を察しながらも敢えて是光は聞いた
「つまり?」
「もし身を固めるんやったら、僕はそのお嬢さんがいい」
と是光をまっすぐに見て秀元は、告げる
是光もまた秀元を見て「酒を注いでくれるか。」盃を向ける。「ふふ…ええよ。」と是光の盃に酒を注ぎ、ゆっくり、是光は飲んだ
「…使者を送らねばな。答えはそのお嬢さん次第だが。」
「そやな」
是光は一息つき秀元は笑い瞼を閉じた。
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黒崎沙夜子。(プロフ) - bossa6brasilさん» 初めまして、私も秀元さん魅力のある方ですよね、私も幼い頃に見て色々ありアニメを見たらすっかり好きになって…全巻買いましたけど、本当に終わってしまって残念ですゆっくり更新してゆきたいと思っております、身に余る言葉ですが励みになります有難う御座います! (2023年1月17日 22時) (レス) id: 71f79be20a (このIDを非表示/違反報告)
bossa6brasil(プロフ) - はじめまして。花開院秀元が大好きで、連載やアニメが終わって残念ですが数年経っても彼に関する作品が見れてとても嬉しいです。黒崎さんの描く文章や世界観が好きです。また楽しみにしております。 (2023年1月17日 21時) (レス) id: 04c0afef8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒崎沙夜子。 | 作成日時:2022年11月29日 16時