四．五話「秀元の気紛れ」 ページ6
前日譚
花開院秀元
羽衣狐をぬらりひょんと、共に倒して後、その名をより轟かせ、またたくまに注目されることとなった。
まだ仮初めの平穏をやり過ごしている京で、秀元はとある封印を施すために、最も気掛かりな妖がいた。
土蜘蛛だ。
奴は、京の街へ今もまた暴れ回っている
最近は少し興が冷めたみたいでなりを潜めてはいるがまたいつ京の街を破壊するか分かったものではない。
秀元は、自室にして静かにため息をついた。
「あともうちょっと、なんやけどな。」
どっどっとっと足音が近づいてくる。
「秀元…！！お前、なんでここにいる？！」
兄の是光だ。
「なんで、て自分の部屋におるのは当たり前やん。兄さん」
「今日は、顔合わせの日だろう？！相手は藍禅家のお嬢さんで…！」
「その娘には会わん。言うたやろ、僕のところへは京の情報は沢山やってくる。藍禅家のお嬢さんのことも耳に入ってる。…僕のトコに来てもその子は幸せになれへんやろ。
それにまだまだ、やることは沢山ある。今こんなとこで足を引っ張られるのは御免や。」
秀元はスパッと言い放った。
藍禅家のお嬢さんは容姿は美しいがそれ故、甘やかされて育ちそれはもう我儘でよくそのお嬢さんの起こした問題を聞いていた。今回のこの顔合わせ…という縁談も向こうが強引に持ち込んできたものだった。
なんでも、秀元を見たお嬢さんが一目惚れしたとか。
だが、相手は名家中の名家。下手な対応すれば面倒事が起きかねない。
是光は弟の自由さに頭を抱えていた。
「其れはこちらも同じだ。
だからと、いって顔合わせにすらお前が来なければ相手の面目を潰す。そうなれば厄介だ。
顔合わせして茶だけ飲んで、時期ではないと断ればいい。」
是光のその言葉に「ふむ…」と秀元何やら、考え、なにか思いついたようににこっと笑う。
「そやな、取り敢えず顔合わせはしとこか。」
秀元の言葉に是光はようやく安堵の息を吐けた。
ー
滞りなく顔合わせだけし、藍禅家のお嬢さんが
「それであのぉ…秀元さんはまだ、奥様がいらっしゃいませんよね？」
と期待を向けた眼差しで今にも私が、あなたの！という雰囲気を醸し出す。
そこに秀元はにっこりと笑顔のまま
「ああ、それについてなんですけども、僕、心に決めた娘がおりまして。その娘と祝言を上げる予定なんです。」
とはっきり告げた。
思わぬ言葉にそこにいた皆が「は？！」と驚く。
只一人、心配で弟を監視していた是光は(またか。。)と眉をしかめて。
四．五話「秀元の考え、是光の困惑。」→←四話「其れは、春が過ぎた頃。」
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黒崎沙夜子。(プロフ) - bossa6brasilさん» 初めまして、私も秀元さん魅力のある方ですよね、私も幼い頃に見て色々ありアニメを見たらすっかり好きになって…全巻買いましたけど、本当に終わってしまって残念ですゆっくり更新してゆきたいと思っております、身に余る言葉ですが励みになります有難う御座います！ (2023年1月17日 22時) (
レス) id: 71f79be20a (このIDを非表示/違反報告)
bossa6brasil(プロフ) - はじめまして。花開院秀元が大好きで、連載やアニメが終わって残念ですが数年経っても彼に関する作品が見れてとても嬉しいです。黒崎さんの描く文章や世界観が好きです。また楽しみにしております。 (2023年1月17日 21時) (レス) id: 04c0afef8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒崎沙夜子。 | 作成日時：2022年11月29日 16時
