十三話「秀元の見たもの。」 ページ16
「ここです」
ふ、と森の真ん中辺りだろうか。
そこでAは立ち止まった。
秀元も笑顔を崩さぬまま立ち止まった。
そしてまた、不思議なそよ風が周りを漂って
目映い光が瞼を閉じさせた、一瞬
「っ…」
秀元が目を開けたときには、あの小さな家があった。そして小さくキラキラと辺りの木々が喜ぶように木洩れ日が揺れる。
小さな家はAが掃除したぶん、綺麗になり、何処か神々しくも感じられた。
(これはこれは…やっぱり、Aちゃん只者やないなあ。…普通はこれへんで。こないなところ、)
秀元は思わず横のAを見て、にこりと笑うと
Aは、一瞬なにか怯えたように見えたが、すぐに笑い返すので、気になりながらも前に進んだ。
「狐さんいますかー?」
と声をかけるAの心臓の鼓動が早かった。
またしても久しく秀元の心の声が読めてしまったからだ。
只者じゃない
もし、私が秀元さんの心が聞こえていると知れてしまったとしたら私は、
秀元さんのそばにいられなくなるのでは?
それを自覚して思ったとき怖くなってしまったのだ。けれど、不意に秀元が、Aの肩にポン、と手を置く。
「、何に怯えてるん?そないに震えて…」
心配そうに見てくる秀元さんを見てAは首を横に振った。
「違うんです、!!その、」
「あれ。」
弁解しようとしたとき、不意に秀元の手がAの髪にさされている簪に触れられた。
「これ、ボクがあげたやつ、使ってくれてるんやね」
と嬉しそうに微笑みを向ける秀元に鼓動が高鳴った。さっきとは違う熱を持ったもの
頬が赤くなった
「は、はい、もちろんです、
お礼、言いたかったのです、ありがとうございます、秀元さ、」
朝起きたときに枕の横に置かれていた箱の中にこの簪があって、秀元さんと出掛けたあの日、買ってくれたのだと、Aは嬉しくなって、早速つけたのだ。秀元が気づいたことがまた恥ずかしいけど嬉しく思いながらお礼を言おうとしたところで
秀元の手はAの頬に置かれる。
「……あーあ、まだ手は出さないて決めてたていうのに、、Aちゃん可愛すぎるわ」
「へっ、、あ、あの…秀元さま………?!」
細められた目は色気を孕んで、捉えられ吸い込まれるように、秀元が顔を近づける。Aが思わず目を瞑る。……と
『これ。わたしの家の前でなにをしてますか』
と白い尻尾をふりふりさせて困り顔で子狐が出てきた。
Aは慌てて距離を取り離れると
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黒崎沙夜子。(プロフ) - bossa6brasilさん» 初めまして、私も秀元さん魅力のある方ですよね、私も幼い頃に見て色々ありアニメを見たらすっかり好きになって…全巻買いましたけど、本当に終わってしまって残念ですゆっくり更新してゆきたいと思っております、身に余る言葉ですが励みになります有難う御座います! (2023年1月17日 22時) (レス) id: 71f79be20a (このIDを非表示/違反報告)
bossa6brasil(プロフ) - はじめまして。花開院秀元が大好きで、連載やアニメが終わって残念ですが数年経っても彼に関する作品が見れてとても嬉しいです。黒崎さんの描く文章や世界観が好きです。また楽しみにしております。 (2023年1月17日 21時) (レス) id: 04c0afef8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒崎沙夜子。 | 作成日時:2022年11月29日 16時