十一話「ふしぎの小さな家」 ページ14
Aが、花開院の家へ来てから暫しの時が経過し
冬になった頃。
少しずつ環境にも慣れてきて久しく、またあの丘へ行こうと
散歩がてらに森に入っていく。
木々の木漏れ日が搖れて、目を眩くさせて不意に目を瞑ったとき
さっと風が吹き抜ける音がした。
はっとなって目を開けるとそこには先程までなかった
小さな家が佇んていた。
驚いてあたりを見渡すと、森に囲まれてはいるが
庭があった。花々が咲いていたのだろうが今となっては枯れてしまっている。
なんだか、寂しく感じたが、悪い気はしなかったので
家へと向かってゆく。
扉を、とんとん、と叩く。
「…すみません、森へ入ったら此処へ迷い込んでしまったようで…何方かいらっしゃいませんか。」
と声をかけるが、シーンと返事はなくどうしたものかと困っていると、
縁側の方から、おい、おい、と声が聞こえた気がする。
振り向くと、白い小さな子狐がいる。
「まあ、かわいらしい、狐さん…ここはあなたのお家ですか？」
と癒やされて笑みが溢れながら、近くによって座ると
こくこく、と頷いている。
そして驚くのはその後だった
「ここはわたしの家。
けれど、わたしはまだ未熟ゆえ、人に化けることも
この家をキレイにすることもできないのです」
その狐が話しだしたのだ。鈴のように爽やかで透き通った可愛らしい声だった
Aは、軽く驚いたけれどその言葉を聞いて何やら考える
「これもなにかのご縁です…宜しければこの家をきれいにするのを私も手伝わせていただけないでしょうか」
「良いのか?人の子」
尻尾をふりふりとして目をパチパチさせながら嬉しそうに小狐はしている。Aは笑顔で頷いた
「では、中にはいるのだ…！まずは箒で掃いてほしい」
小狐に案内されるままに
Aは部屋の埃を払ったりして
汚れを雑巾で拭き取る。井戸があるのでそこで水を汲み、雑巾を何度も洗って拭いた
小さな家だがやりだすとなかなか大変で一通り終わった頃に縁側から外を見ると夜になっていた。
「まあっ、いけない…！小狐さんごめんなさい、私そろそろ帰らないと…」
慌てると小狐はこくっと頷く
小狐が、縁側から飛んで庭へ歩き、ふーと息を吐くとその息にそって光る道ができていく
「この道を辿れば、森を出られます
部屋をきれいにしてくれてありがとう
人の子。…まだ来てくれる？」
きらきらと毛並をさせながら聞いてくる
「勿論、まだお庭もあるから
今度は、お花の種でも持ってきますね」
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黒崎沙夜子。(プロフ) - bossa6brasilさん» 初めまして、私も秀元さん魅力のある方ですよね、私も幼い頃に見て色々ありアニメを見たらすっかり好きになって…全巻買いましたけど、本当に終わってしまって残念ですゆっくり更新してゆきたいと思っております、身に余る言葉ですが励みになります有難う御座います！ (2023年1月17日 22時) (
レス) id: 71f79be20a (このIDを非表示/違反報告)
bossa6brasil(プロフ) - はじめまして。花開院秀元が大好きで、連載やアニメが終わって残念ですが数年経っても彼に関する作品が見れてとても嬉しいです。黒崎さんの描く文章や世界観が好きです。また楽しみにしております。 (2023年1月17日 21時) (レス) id: 04c0afef8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒崎沙夜子。 | 作成日時：2022年11月29日 16時
