九話「二人で過ごした初めてのデヱト」 ページ12
「それでは失礼する。騒がせてすまなかった。」
「あ、あのっ…」
「？なにか？」
と一礼して立ち去ろうとする是光を、Aは呼びとめる。
Aは迷いながら
「有難う御座います。」
突然のその言葉にその場にいた二人がどちらもわからない顔をした。
「是光…様でしたでしょうか。弟想いで誠実な方だと解りました…その、何かと至らない嫁かと思いますが…どうぞ、これからも…宜しくお願い致します…。」
と頭を下げたAに是光はじっと見てから
秀元の顔を見合わせた。
そして、ふっと笑って「頭を上げてくれ」との言葉に頭を上げる。
「こちらこそ、弟共々
よろしく頼む。…では、あとは夫婦二人で過ごしてくれ」
と爽やかに是光は立ち去った。
秀元は、Aの肩にぽん、と手を置く
「ようやく安心したみたいやわ。是光兄さん」
「安心…ですか？」
「Aちゃんのことばっかりボクが気にかけてたから色々気になってたみたいや。だから、会えばわかるて、さっき言ってきたところでね」
呆れたように笑ってるがその目はなんだか嬉しそうで
Aもなんだか嬉しくなった。
が、気にかけたという言葉にどう解釈したらいいものが気になったが、一旦その考えは振り切り
「そうですか……それは…嬉しいです」
そう笑うAに秀元は目を細めてじっと見てくる
「その着物…」
「あ……はい
秀元さまが勧めてくださった着物で…」
と少し緊張するAに静かに秀元は笑って耳元に顔を近づける。その動作にAは顔を真赤にする
「やっぱり綺麗や。あんたには紫が似合う思うたんや…」
「っ…あ、あの…！おでかけは…！」
吐息が耳を擽り居ても立っても居られなくなり
なんとか距離を取り話題を変える
目をぐるぐる指せるAに秀元は楽しげに笑い、手を握る。
「……！」
「ほな、今度は茶店で団子でも食べながらゆっくり話そうか」
と笑って連れられる。
ーー
二人でお団子を食べたり、小物屋さんを見たりする
その時、不意に撫子の飾りの簪を見て秀元はAに似合いそうだと思い、Aが他のものを見てる間にそれを買う。
楽しそうに見るAに秀元は楽しげに見つめてから
一緒に出掛けた。
「さて、じゃ、そろそろ帰ろうか。Aちゃん」
手を差し出す秀元にいつの間にか自然と握り返すA。
その動作に秀元は、思わずきゅんとなり思わず抱きしめそうになる気持ちをなんとか抑え、牛車を出し、二人で遠のく街の光を見下ろした。
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黒崎沙夜子。(プロフ) - bossa6brasilさん» 初めまして、私も秀元さん魅力のある方ですよね、私も幼い頃に見て色々ありアニメを見たらすっかり好きになって…全巻買いましたけど、本当に終わってしまって残念ですゆっくり更新してゆきたいと思っております、身に余る言葉ですが励みになります有難う御座います！ (2023年1月17日 22時) (
レス) id: 71f79be20a (このIDを非表示/違反報告)
bossa6brasil(プロフ) - はじめまして。花開院秀元が大好きで、連載やアニメが終わって残念ですが数年経っても彼に関する作品が見れてとても嬉しいです。黒崎さんの描く文章や世界観が好きです。また楽しみにしております。 (2023年1月17日 21時) (レス) id: 04c0afef8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒崎沙夜子。 | 作成日時：2022年11月29日 16時
