一話｢貴方と出逢うひ。」 ページ2
｢また縁談がダメになったのか｣
｢ええ、申し訳ありませんあなた…｣
障子の扉を隔てて父と母が話している。
一人娘の私を名家の息子さんと婚約させ、うちの落ちぶれた家を立て直したいようだった。
けれど、私が陰気なせいて、全て破談になってしまった。だから。
(全く、一人娘で可愛がってやってきたのになんの役にもたたん、娘だ。)
父の心の声が聞こえる。
そして母にまた言うのだ。
｢お前が息子を生んでくれていればな｣
その言葉に母に唇を噛み締めて
｢申し訳ありません｣
と冷えた目て畳を見つめるだけだった。
私は足音を立てず、その部屋から遠ざかり家を出ていく
町を通る度、人の雑踏が心が聞こえ、耳を塞ぎ遠くへいく。
人のいないところへと。
私には物心ついたときに人の心が読め、聞こえた。
それはいつも不意だった。
聞こえたり聞こえなかったり
制御ができなかった。
人の声を聞くたびその人たちの本心を知るたび
私は怖くて、口数も少なくなっていた
曇った心では、笑ったところで、ぎこちなく陰気に思われるだけだった。
私はいつもの丘へいく。
今は春だからきっと桜が綺麗に咲いていてこの心も少しは晴れるだろうかと思いながら走って。
＿＿
ついたときには私はうずくまって静かに泣いていた
どうしようもなく辛くなるときは私はこれの繰り返しだった。
夕日が見えてきてもどうしても帰る気になれなくてそのままめでいたら、後ろから人の気配がする
私は思わず固まった。
(だ、誰？もしかして暴漢、？)
私はそれを考えれば一気に怖くなり震えて動けなくなった
｢おや、先客がおったんか｣
聞こえてきたのは、若い男の声だった。
予想を反する穏やかな声だったので
私は振り向いた。
｢………つ、｣
私はその人を知っていた
偶然、その人が式神に乗って空を行くところを遠巻きに見ていただけだけれど。
あの羽衣狐を倒したことでその名をより轟かせ
その名を知らないものはいないはずだ。
そこにいたのは、私をみておだやかに笑う天才陰陽師、花開院秀元
その人だった
その人は私に近づき
｢隣いいかな？｣
そう聞いてきたので、｢あ、はい、大丈夫です…｣と思わず頷くと｢おおきに｣と言って隣に座った。
私が黙って夕日を見ていると秀元も、一緒にみて
｢夕日が沈んでいくなあ｣
と言った
｢そうですね、もうすぐ夜になってしまいますね｣
なんて答えてると
｢うら若きお嬢さんがこない遅い時間まで泣くほど、帰りたないん？｣
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黒崎沙夜子。(プロフ) - bossa6brasilさん» 初めまして、私も秀元さん魅力のある方ですよね、私も幼い頃に見て色々ありアニメを見たらすっかり好きになって…全巻買いましたけど、本当に終わってしまって残念ですゆっくり更新してゆきたいと思っております、身に余る言葉ですが励みになります有難う御座います！ (2023年1月17日 22時) (
レス) id: 71f79be20a (このIDを非表示/違反報告)
bossa6brasil(プロフ) - はじめまして。花開院秀元が大好きで、連載やアニメが終わって残念ですが数年経っても彼に関する作品が見れてとても嬉しいです。黒崎さんの描く文章や世界観が好きです。また楽しみにしております。 (2023年1月17日 21時) (レス) id: 04c0afef8e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒崎沙夜子。 | 作成日時：2022年11月29日 16時
