君の為 ページ12
まずは手近であるストーカーから始末したいが、その為にはやはり彼女の家を特定する必要があるだろう。
徒歩20分圏内で彼女の苗字と合致する家を虱潰しに探す。
外回りのついでという形にはなってしまったが、数日かけて、これだという家を見つけ出すことが出来た。
窓から彼女が雑誌を広げてくつろいでいる姿が見えたのだから間違いは無い。
そのまま彼女を見ていたいが、今はストーカーを見つけ出すのが先だ。
周辺を歩いて怪しい人間が居ないかを探す。
そういえば今日はクリスマスイブだが、彼女は今まさにデートの支度をしていたりするのだろうか。
わたし以外の男のために服を選んだり、どの店に行こうかと雑誌を眺めたりしている？
そう思うと腹立たしいが、ほんの少しの我慢だ。
Aさんに安心を与えられるのはわたしだけなのだと、彼女に証明してみせる。
「……？」
物陰に隠れるようにして彼女の家に視線を向けるストーカーらしき男を見つけた。
小汚い格好をした、彼女より四十以上歳が離れていそうな男だ。
その男は大型犬に付けるような首輪を手に、彼女の部屋の方を見ながら呼吸を荒くしている。
(……？まさか、あれを彼女に？)
それならば随分と趣味の悪いことだ。
他人の嗜好に対してとやかく言うつもりは無いが、少なくとも彼女に首輪は似合わないだろう。
それに、そんなものを付けていたら彼女の柔肌に傷がつくかもしれない。
(こんな下劣な男を彼女に近づけさせるわけにはいかない……今すぐ始末してやるべきか)
「君、さっきからそこで何をしている？」
「あ、あぁん！？テメーには関係ねぇだろうが……！」
明らかに動揺し、唾を飛ばしながら叫ぶ男は、しっし、とジェスチャーをしてからまた彼女の方に視線を向ける。
この目から感じるのは恋慕のような感情では無く、もっと粘着質なものだ。
彼女に異常に固執している目だった。
(人通りが少ないとはいえ……始末する瞬間を誰が家の中から見ているかは分からない……この場から離れさせなければ)
「警察、呼びますよ。前々から相談を受けていたんだ、変な男に付けられている気がするってね」
「適当言ってんじゃねぇぞこのイカレ野郎が！」
男の興奮状態は異常だ。
自らの劣情を満たすことしか考えていない、心ここに在らずといった虚ろな目が、ギラついて殺意を剥き出しにしている。
「……せめて場所を移して話しましょうか」
「ガキが指図するんじゃねぇ！」
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アーディ(プロフ) - 餡さん» コメントありがとうございます！本当はもっと短く纏めるつもりだったので、間に合うか間に合わないかの瀬戸際でヒヤヒヤしながら書いておりました。吉良さんの魅力が伝わっているなら何よりです。最高の褒め言葉ありがとうございます！読破お疲れ様でした！ (1月31日 13時) (
レス) @page42 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
餡(プロフ) - 完結おめでとうございます。まさか吉良さんの誕生日に合わせて執筆されていただなんて…！細密な描写が色んな視点で描かれていて、とても面白かったです。本当に吉良吉影という人物の魅力がたくさん詰まった作品だと思います。素敵な物語をありがとうございました…！ (1月31日 8時) (レス) @page42 id: 493b9f8f47 (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - ゆーりさん» くそっ……じれってーな。俺ちょっと2人を進展させてきます……！(コメントありがとうございます！作者的にももどかしいです！！！) (1月26日 22時) (レス) id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーり(プロフ) - あー！！！もどかしい！ドキドキしますね…！！！ (1月26日 16時) (レス) @page32 id: bb43593a3a (このIDを非表示/違反報告)
アーディ(プロフ) - のんさん» ありがとうございます、先はまだちょっと悩んでますが、更新頑張りますね！ (1月11日 21時) (レス) @page9 id: 0218ed2c56 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：奇妙な前髪 | 作成日時：2024年1月8日 23時
