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ゲネプロとリハーサルは明日だが、何せ、公演時間が長い。

よって、練習はテキパキ済まさなきゃ間に合わない。客席に移動したり、大掛かりな舞台装置の移動もするらしいから、時間配分は大事だ。

私は、本当に、何かあるまでは、やることが、ない。強いて言えば、頑張って探してあるとしたら、演出家や役者から音響、照明の若干の変更の申し出がある場合の仲立ち、か?

『照明、何か問題は?』
〈特になしだ〉
『よかったです。音響、どうですか』
〈こっちも、特には、なぁいね〉
『わかりました……息苦しそうですね、玉村さん』
〈ん?そぉかい〉
『はい、無理しないでくださいね』
〈わかってっさぁ〉

時々、自分は見えない席にいる係の人に連絡を取りながら、見学。

舞台上には役者と、大道具の移動をする、あちら側の助っ人さんと、幕の上げ下げとか、その他のことをする会館のメンバー。舞台上の皆は見えるんだけどね。

きらびやかな衣装、最近話題のJ−pop調の音楽、イケメン揃いの役者たち。

最近の女子は、きっとこういうの好きなんだろうなぁ。とか思いながら、五感に神経を尖らせる。変な音はしないか、可笑しな匂いはないか、変な軌道を描く何かは無いか、何か、何か__



ゴトリ



〈ゴトリ〉



背後と、耳から、ほぼ同タイミングで、音が。

背後にあるのは、おびただしい数の空いた客席と、音響席。小窓の奥に、照明席。

音の、出処は?

〈リーダー!!音響、玉村さんが、玉村さんがぶっ倒れ〉
『え』
〈あ、大丈夫そうだ。ぎっくり腰かね〉
『玉村さん、どうしましたか。応答、応答お願いします。玉村さん……!』
〈落ち着けリーダー、しゃっくりしてっぞ、玉村さん。インカムも外れて、〉

耳からの情報も無視して、まず、靴を脱いだ。安っぽいローファー。一秒もかからずして、地面に投げられるそれ。

階段まで行く時間も惜しい。マナー違反も甚だしいが、直線距離で、客席の上を走る。というか、飛ぶ。

勢い良く音響の机も飛び越えた。玉村さんが、倒れていた。これは、ただの、しゃっくり?

『練習を一時中断してください!!!大谷さんは幕を下ろして!!皆さん、その場で待機を!!体調不良者です!!!!』

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Canon(プロフ) - * haru *さん» コメントありがとうございます!! (2020年8月1日 7時) (レス) id: 930afbe674 (このIDを非表示/違反報告)
* haru *(プロフ) - 健介さんの小説を探しておりました…!出会った二人のアワアワした空気感がとても微笑ましいですね、、素敵なお話をありがとうございます!コミカルな主人公さんも素敵です!! (2020年7月31日 1時) (レス) id: 91042359bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Canon | 作成日時:2020年6月23日 23時

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