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無常にも、時間は過ぎていきます。

そう、皆平等、男女参画社会万歳、肌色の概念消滅万歳、一日の二十四時間制度万歳__

「だぁいじょぉぶかぁい?」
『玉村さん??間延びしすぎです、さては眠いですね』
「………………ん?」
『くぅぅ、人がこんなに緊張しているのに!!今寝かけてましたね?!』
「…………んぁ?!」
『玉村さぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!』

一生懸命に現実逃避をしながら、皆さんを待っている中、何故か客席まで降りてきた会館の責任者。

数年前までは盛んに行われていたらしい数々のコンサート、ライブ、演劇などなど。その時は沢山の人が働いていたこの会館らしいが、いまじゃその面影もない。

今となっちゃ、この施設には、ずぶずぶと裏方に浸って数十年の独身男性や、定年後も会館を愛し続ける変わり者、昔ながらの事務さんたちがここにいるだけ。

それで、件の会館大好き変人責任者は本来、本番では特に何もしないはずだが、慢性的労働力不足により、音響に入る。本当に、やばいね、この状況ね。一応、公共施設なんだけども。なんだけれども。

『いいんですか?降りてきて』
「まぁだちょっとかかるだろうしぃ、ねぇ」
『…………そう、ですか』
「緊張するかい、リーダー」
『いつから緊張しないと錯覚してまして?!』

入れ歯だらけの口が、気の抜けた笑い声をこぼした。

むすっと顔をしかめると、肩を軽く叩かれる。

「リーダー、大丈夫。皆プロじゃし、手慣れておる。お前さんは、ただただ、どんと、胸を張って構えておりゃいい」
『…………そんな、簡単にできるもんなんですか』
「ああ。リーダーは、何かあった時に動くだけ。逆に、お前さんが不安がっていたら、それが伝染するしなぁ」
『え』

もじもじしていた手が停止した。首にかけていたインカムを見る。

まだ電源は入れていない。これに発した言葉が、すべてを動かすのだ。そう、自分の言葉が。

皆さんに伝わるのは、声だけだ。大方はね。でも、それでも、リーダーだから、腐ってもリーダーだから、って、こと?

「さぁて、そぉろそろ、配置につくかね」
『は、はい!』
「うんうん、その調子、その調子」

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Canon(プロフ) - * haru *さん» コメントありがとうございます!! (2020年8月1日 7時) (レス) id: 930afbe674 (このIDを非表示/違反報告)
* haru *(プロフ) - 健介さんの小説を探しておりました…!出会った二人のアワアワした空気感がとても微笑ましいですね、、素敵なお話をありがとうございます!コミカルな主人公さんも素敵です!! (2020年7月31日 1時) (レス) id: 91042359bd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Canon | 作成日時:2020年6月23日 23時

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