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『そろそろですかね』
割と年季が入ってる、会議室の壁に掛けられたアナログ時計。カチコチとでかすぎる音を立てながら秒針が進む。
それを横目で見ながら、だらりと長机に上半身を預け、時の経過を待ち、ぼそっと呟く。
「そうだなぁ。そぉろそろだ」
『いやあ、まっさかまさか、こんな地方にあんな人たちが来るなんて』
「えっと？誰さんじゃったかの」
『えっと……？』
この会館の責任者、私の上司、玉村さんと天井を見上げ、記憶を引っ張り出す。あ、この話を聞いた時の資料をぼんやりと思い出せた。いいぞいいぞその調子。えっとね………
……ううん。イケメンたち、ということしか覚えてないな。えっと？
『あ、……舞ってましたね、何かが』
「おーおー、そうだのぉ。舞っておった」
名前が踊ってるのと、本人たちも踊ってるのはわかってる。そうそう。衣装も派手、で……？
「『………さっぱりっちゃ』」
人間、やはり忘れっぽいようだ。ため息をついて、諦めた。お互いに顔を見合わせ、私は肩をすくめ、玉村さんは首を横に振った。
数日の間、仕事を共にする相手を覚えてないってのは結構失礼だとは思う。でもまあ、覚えてないもんは、覚えてない。事実だね、否定できないね。
「俺も歳じゃぁのぉ」
『それなら、私は脳みその末期です』
「てぃーんえいじゃー、がんばるんじゃー」
『……さーて、そろそろ到着でしょうー』
「おーい？！」
上司のしゃれてないダジャレを無視することにして、やっすいボロボロのパイプ椅子から立ち上がった。それに続いて、はたわたと年老いた上司も腰を抑えながら立ち上がった。
背伸びをして、首をまわし、こきこきと音を鳴らし、準備。此処に勤め始めてから、地域の小さなイベント以外では初めての大仕事だ。
さあ、気張ってやってやりやしょうや。
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Canon(プロフ) - ＊ haru ＊さん» コメントありがとうございます！！ (2020年8月1日 7時) (
レス) id: 930afbe674 (このIDを非表示/違反報告)
＊ haru ＊(プロフ) - 健介さんの小説を探しておりました…！出会った二人のアワアワした空気感がとても微笑ましいですね、、素敵なお話をありがとうございます！コミカルな主人公さんも素敵です！！ (2020年7月31日 1時) (レス) id: 91042359bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Canon | 作成日時：2020年6月23日 23時
