心酔 (ページ8)

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■ ページ8

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『……』

朝。出勤前に私はいつもSNSを確認するのだが

『…まただ』

ほぼ毎日、それも頻繁に“樽間”と言う人からダイレクトメッセージが届くのだ。

別にそれだけなら構わない。反応せずに無視を続けたり、最悪の場合ブロックすれば良いだけの話しだからね。

でもこの人は違った。と言うのもそのDMで、“いつも見てます”、“今日も可愛いですね”、“ずっと前から大好きです”などとまるで私に恋愛感情を抱いているような文面が送られてくるのだ。

リスナーが配信者に恋をするというのはよく聞く話だが、改めてその立場になってみると、こんな私にも恋をしている人がいるのだと痛感してしまった。

…それに樽間さんの行為はこれだけじゃない。この人は私の配信でも“愛してます”などとコメントしてくるのだ。

私はリスナーとある程度の距離を保つためこう言ったコメントにはあまり反応しないようにしているが、一度この人は私が反応しないことに痺れを切らしたのか、スーパーチャットで、しかも上限額で何度も何度もそう言ったコメントを打ってきたことがあった。

流石にリスナーもその人に対して言及するコメントが増えてきたのでお礼を伝えたのだが、それが間違いだったのかこうして毎日頻繁に私へ愛を述べるDMが来るようになってしまった。

何度かブロックしようかと考えたが、きっとこの人は恋に盲目になっているだけであり、ブロックしても多分火に油を注いでしまうだけだろうと考えたため、結局そのままにしてしまっている。

それに、こう言った人は本当に何をしでかすか分からないから無視するのが一番だろう。

『っやば、もうこんな時間』

そろそろ家を出ないと遅刻しそうだったため、スマホの電源を落として私は職場へと向かった。