また逢う日まで【WT】 (ページ3)

今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:1,002 hit

03. ページ3

.

『確かに、これは酷い』

かなり飛ばして来たため一刻もしないうちに隣町へ着いたはいいが、店主のおじさんが言った通り街の環境はかなり劣悪だ。

ボロボロな服を身にまとっている子供たちや道端に倒れている人、それに

『うっ』

嗅いだことの無い異様な臭いが至る所から漂っていた。

それにさっきから至る所から感じる複数の視線が痛い。

私は俯きながら、そしてあまり目立たないようにローブに付いているフードを被って天然石を探し始めた。

しばらく歩いていると大小様々な石を置いている露店を見つけた。恐らくここに売っているだろう。

そう思って店前に立ち止まり目当てのものを探した。意外なことにこの店の店主は気さくな人で天然石をいつくかオマケしてくれた。まぁ値段は可愛くなかったが。

持ってきていたの中に籠に買ったばかりの天然石を入れてそろそろ帰ろうとした時、被っていたフードであまり周りが見えなかったのか誰かにぶつかってしまった。

『っわ、ごめんなさい』

「ってェなぁ...よぉ嬢ちゃん。アンタのせいで俺肩痛めちまったてよぉ。こりゃあ慰謝料払ってもらわねぇとなぁ？」

私がぶつかってしまったのはそう話したガタイのいい男性だった。そしてその後ろには両手首を麻縄で拘束されている小さな男の子六人がいた。

見たところ恐らく彼は奴隷商人と言ったところだろう。

まぁでも一番驚いた事はここに住んでいる人間はこんな些細なことで怪我をしてしまうほど貧弱だったという事だ。

だがお金はさっきの思った以上の支出でもう殆ど残っていない。

...そう言えばポーチの中にアレが入ってた気がするな

『...あった。今あなたに払えるほどのお金は無いので良ければこれを』

「ンだコレは」

男は私が差し出した液体の入った小瓶を強引に奪って品定めするかのように見つめている。

『治療薬です。それを飲んで傷を治してください』

そう言うと目の前の男は大笑いした後に私の横にあった壁を思いっきり拳で叩いてきた。

その大きな音に辺りはしんと静かになり、そして周りにいた人々は思い思いに私を見つめる。

「おいテメェ。俺が欲しいのはこんなウソ臭い薬じゃなくてカネなんだよ、分かるだろ？それとも払えるカネがねェのか？ならカラダで払ってろ貰うっきゃねぇなァ！」

男は私の腹目掛けて拳を振り下げてきた。