また逢う日まで【WT】 (ページ14)

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side:shk

「ｯ...」

...見えなかった。

いや、恐らく彼女の動きと剣捌きが速すぎたのだろう。

そういえば初めて会った時に使っていた彼女の魔法も...ただ威力が低いんじゃない。速いんだ。速いから俺たちを連れていたあの忌々しい男もその魔法の速さに反応しきれず彼女の前に倒れたんだ。

「...勝てねぇ」

俺は固唾を呑んで小さくそう呟いた。

今まで俺たちを虐げてきた汚ぇ大人の連中は武芸や魔法の心得が全くなかったためか俺でも簡単に倒すことが出来た。

...いや、きっとそんなヤツらだったからこそ俺は今までそうやって仲間を守ってこられたのだろう。

でも、彼女には？

剣は勿論、魔法だって俺よりも数倍は心得がある。彼女のどこへ飛び込んでもきっとすぐに斬り捨てられるだろう。

...きっと今の俺じゃ仲間を守れない。

だか俺はそんな彼女に対する恐怖と同時にとある感情が湧き始めていた。

しゃがみこんで俺の安否を確認する彼女の双眸に映る俺の瞳を見る。

俺のその瞳は恐怖に染まっていたが、その中には確かに彼女の強さに対する憧憬の念が宿っていた。