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side:shk
「大丈夫だ、俺は死にやしない。それにこれでお前らも心置き無くあの魔女と接することができるだろ？」
そう言うと俺はみんなに部屋の奥へ行く様促して玄関のドアに手をかけた。
...正直俺はあの魔女のことを信じてない。
ドアを開けてすぐに魔獣を倒し、そしてあの魔女も殺すつもりだった。
初めて会った時に見たあの魔女の魔法は威力はそこまで高くなかったため、俺なら間合いを詰めれば簡単に倒せるだろう。
いつでも攻撃できるように後ろに隠した右手に魔力を込めて小さな風を生成し、刃のような形に変形させる。
...これで準備万端、だな。
左手でドアを勢いよく開けると魔獣と交戦中だったあの魔女が出てきた俺に気づいたのか、驚いた様な表情を浮かべて『危ない』と叫んできた。
ふーん、少なくともきんときが言ってた「魔獣を放ったのはあの魔女ではないか」という話はどうやら真実ではなかったようだ。
...でもそれを知ったところで俺の気持ちが変わることはない。
魔獣を倒してあの魔女を殺す。これまで通り仲間を守るためにも今の俺がやることはただそれだけだ。
勢いよく右手を後ろから出して魔獣に狙いを定めようとする。が、しかしさっきまで目の前にいた魔獣の姿はなく、焦って辺りを見渡していると、ふと辺りが暗くなった。
今日は満月でさっきまでは明るかったため月が雲にでも隠れたのだろうか、なんて思い夜空を見上げると、そこには今にも俺に飛びかかろうとしている、さっきまであの魔女と交戦していた魔獣の姿があった。
...まずい、これじゃあ俺が魔法を放つまで間に合わない。
まさか、殺されるのは俺の方だったのか...？
先程までの余裕が恐怖で埋め尽くされてその場から動けずにいると、瞬間、魔獣の腹へ縦に裂け目が入った。
一瞬の出来事で唖然としていると、俺に襲いかかろうとしてきたその魔獣は真っ二つになって地面へ落下し、そのまま塵となって消えていった。
一連の出来事で腰を抜かしてしまったのか地面に尻もちをついてしまうと、さっきまで魔法でしか戦っていなかったあの魔女が恐らく自身の魔法で生成したのであろう氷の剣をすぐに消失させて俺の元へと駆けつけた。
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作者名：ふぁる | 作成日時：2023年11月25日 13時
