ほくとくらぶ。 (ページ6)

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美容院が見えて、私の家が近くなったことがわかった。

ここを左に曲がれば、もう…

と思った時、松村さんがそこの道をまっすぐ進んだ。

『あっ、そこ左……』

北斗「え、あっ、ごめん間違えた！」

松村さんが慌ててUターンしようとしたけど、ここはUターン禁止。

松村さんは焦った様子で『わー…やっちゃった』って言っている。

『全然構わないんですけど……松村さんのお時間とっちゃうので、』

北斗「いや！そんなの全然良い！！」

私が謝ると、急に身を起こしてそう言うので少し頬が緩んだ。

『なら良いです、けど…』

乗り出した身を抑えて、私は助手席にもたれた。

『あ、松村さんってどこ住んでるんですか？』

静かになった空気に耐えられず、話しかける。

すると、松村さんは驚くべきことを言った。

北斗「…Aちゃん家の隣」

『ええ！？』

思わず大声をだして、口元を抑える。

松村さんは可笑しそうに笑って、

北斗「冗談だよ。」

と言った。

『…もう、びっくりさせないでください…』

私が俯き加減でそう言うと、松村さんはいつもの表情に戻って言う。

北斗「別に遠いわけではないんだけど。Aちゃんの家の前だよ」

『また冗談…』

北斗「いやほんと！これはほんと！！」

必死で言う松村さんに、私は疑いの眼差しを向ける。

『…じゃあどうして道間違えたんですか』

と聞くと、松村さんは困ったように視線を泳がせて頭をかいた。

北斗「……引かないでね？」

確認するように上目遣いで私にそう言う松村さん。

私は大きく頷く。

北斗「…実は、Aちゃんともっと一緒に居たくて、わざと間違えたふりした…ごめん」

神妙な表情でそう言う松村さん。

私ともっと一緒に居たい。ストレートなその言葉に、顔が熱くなる。

北斗「怒った…？」

上目遣いでそう聞く松村さんに、胸がどきっとした。

『怒るわけ、ないです…』

恥ずかしくて、服の裾を握ってそう言うと、松村さんはニコッと笑って安心したように言った。

北斗「ふふ、良かったぁ」

その姿を見て、また心臓がキュッとなった。

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