おかえり、青春 (ページ8)

今日:7 hit、昨日:5 hit、合計:9,115 hit

８ページ8

８

『北人は…優しくて、顔もカッコ良くて、
たまに自己中だけどでもみんなのこと考えてくれてた。

負けず嫌いでバスケに関してはほんとに負けなしだった、カッコよくて、きっとそのおかげでモテてたし

わたしが壱馬と喧嘩しても絶対助けてくれて
わたしが言いすぎて北人と喧嘩しても、絶対北人から謝ってくれた。
それにお菓子買ってきて“これで許して”とか言ってくれたり、

勉強できないくせにわたしに教えようとしてくるし、壱馬のこと馬鹿にして怒られてへこんでたり。

子どもっぽいところもあるけど
誰よりも熱い人だった。

わたしは、好きだったよ。』

「…泣かないでよ…」

『え？あ、ごめん笑思い出しちゃって』

ふと、みんなの方を見ればみんな涙を流してた。

わたしの頬を伝った涙は北人が拭ってくれた。

翔吾「めちゃくちゃ北ちゃんのこと思い出した」

晴季「高校の時のこと思い出しちゃう～！泣かせないでよ～！」

唯乃「どうしよう、吉斗さんのこと北人に見えてきた」

壱馬「…会いたくなってきたわ、北人に」

みんなに、

ここにいるの北人だよ

なんて言ったら

馬鹿にされるんだろうな
壱馬には怒られそう。

みんな泣いてるのみてわたしもさらに泣いてたら左手が誰かに握られた。

「これで泣き止んでくれる？？」

大人になっても、北人に振り回されるのは変わらない。

どこかで振り回されたいなんて思ってるわたしもいる。

『わからないよ』

そういうと北人は眉尻を下げて困った顔をした。

「どうしたら泣き止んでくれるの？

“Aは笑ってた方がいい”」

まただ

すぐそうやってわたしを泣かそうとするの

もう学習してよ。

壱馬「北人に、会いたい…グス、」

『え、壱馬泣いてる』

晴季「嘘でしょ、あれ以来泣いてるとこ見てないのに」

『お酒入ってるからかも』

壱馬「なんであいつやったん？居眠りしてた奴がどんだけ謝っても北人は帰ってこないのに
北人は、北人は…！」

翔吾「壱馬、落ち着いて」

壱馬「…どうしたらええねん、俺」

普段気持ちを表に出さない壱馬が泣くのは
北人が亡くなった時以来で

きっとたくさん我慢してきたんだろうな

唯乃「そういえば北人さ、中学からずっと彼女いないよね、」

翔吾「北ちゃん彼女いたことないらしいよ」

『え？そうなの？？』

晴季「なんであんたが知らないのよ笑」

壱馬「…一途だったから、あいつ」